2012/01/15
山口 瞳さん(21)=駒ケ根市
大きな翼を羽ばたかせ、天空を飛び回る鷹(たか)を意のままに操る。小さく舌打ちを2、3度して「ホウ」と大きな掛け声を出す。猛スピードで飛んでくる鷹を皮のグローブを付けた左腕に降ろす。「鷹は気難しい性格。人間との信頼関係が何より大切」と、えさとなるウズラの生肉を与えるのも忘れない。
山形村出身。自宅ではインコやオウムをペットとして飼うなど、鳥好きだった。塩尻志学館高校卒業後、事務系の仕事を経て、辰野町の鳥類を扱うペットショップに就職した。ある日、猛禽(もうきん)類愛好家である現在の師匠から「鷹匠やってみないか」と持ち掛けられた。「テレビなどで言葉は知っており、面白そうだと思った」。決断は早かった。
現在は宮田村で鷹のほか、ハヤブサ、フクロウの調教にも励みつつ、各地で鷹狩りの実演に奔走する日々。
技を披露しない間、グローブに鷹の足を固定するが、ひとたび翼を羽ばたかせると、「大型の犬に引っ張られるほどの力」で全身を持っていかれる。日常の練習場所も、山林が多く、獲物を求め飛び回る鷹を追い掛けることもある。「想像以上に体力のいる仕事」というが、1年弱で鷹を操るまでの技術を身につけた素質について師匠は「鳥に携わることが多かった分、天性のものがある」と評価する。
「鷹狩り」という日本の伝統文化をより多くの人に知ってもらおう。師匠の意向もあり、実演の際はあえて、奇抜ともいえるファッションにこだわる。昨年末、駒ケ根市内で開かれたイベントには、茶色のレザージャケットに、デニムのミニスカート姿で登場。「少し恥ずかしい気持ちもあるけれど…」と言いながら、鷹を意のままに操り、大きな拍手が送られた。
当面の目標は、宮田村内に猛禽類の販売店を開店すること。昨年11月から約1カ月間、茨城県の日本鷹匠協会で勉強もした。「一人前の鷹匠になれるように頑張りたい。そして、日本の伝統文化を1人でも多くの人に知ってもらいたい」。
(山口登史)
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