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【三重】就農の思い結実ミカン 台風被災も無事収穫

2011/12/07

 ミカン農家を志して熊野市に移り住んだ鈴木翔さん(28)は、9月の台風12号で自宅と畑に大きな被害を受けたが、地元の仲間の支えで今年も無事収穫した。被災直後は農業を続けることに不安もあったが、「ずっとここでミカンを作りたい」との思いを新たにしている。

 鈴木さんは四日市市南いかるが町出身。サラリーマン家庭で、農業には縁がなかった。「北海道に行きたい」という憧れで酪農学園大に進学。農業実習が楽しく、「将来は農家になりたい」と思い始めた。

 県の新規就農相談センターで、県南部で若者を求めていることを知った。研修を経て、高齢で後継者を探していた熊野市金山町と御浜町志原の農家の畑延べ75アールを借り、2年前に移り住んだ。

 軌道に乗り始めたころ、台風に襲われた。山側にある熊野市の畑は土砂崩れの被害に遭い、御浜町の畑は木が流れ込んで荒れた。自宅も2メートル浸水し、車や家財道具一式を失い、実家へ避難した。

 昨年初収穫して、これからという時。「今年は絶対に鈴木に収穫させなあかん」。数日後に戻ると、被災した仲間が何事もなかったように畑を片付け、ミカンの消毒もして実を守ってくれていた。今のところ、昨年を4トン上回る10トンを収穫している。

 今は熊野市木本町の市営住宅で妻と1歳の長男と暮らす。「今は早く一人前になって『あの時はお世話になりました』と胸を張って言えるようになりたい」と心に決めている。

 (神谷円香)

イベント会場でお客さんから激励を受ける鈴木さん=菰野町菰野で
イベント会場でお客さんから激励を受ける鈴木さん=菰野町菰野で