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【愛知】県内の労災死、全国最悪

2008/11/12

 愛知労働局によると、県内の労働災害による死亡者数は11日現在で62人にのぼり、全国最悪となった。前年同期よりも8人多く、建設現場での転落や高齢者の事故が増加している。これを受けて、同局は12月1日に管内の建設現場に対し、緊急の一斉合同パトロールを実施する。

 死亡災害は4月まで前年を下回っていたが、7、8月に急増し、2カ月間で計19人が死亡。11月になっても多発傾向に歯止めはかからず、7日には小牧市の倉庫の建設現場で、フィリピン人の男性技能実習生(32)が、手引き式のローラーで土地を固めている作業中、深さ約60センチほどの穴に転落。後から落ちてきたローラーの下敷きになって死亡した。

 業種別では、建設業が21人で最も多く、次いで製造業が13人、陸上貨物運送業が9人。この3業種で全体の7割近くを占めた。事故の種類別では、墜落や転落が19人で、昨年1年間の9件の2倍以上に。交通事故が12人、挟まれ・巻き込まれが9人と続いた。

 年齢別では60歳以上が23人で最も多く、50代が16人、40代が8人。経験別では20年以上のベテランが23人と最多。5年から10年未満が14人、1年以上5年未満が11人となっている。

 事業規模別では、9人未満の零細企業が35人で半数以上を占め、10-49人規模が16人と小規模事業所での事故が目立った。100-299人規模は7人だった。

 転落や高年齢者の事故が相次いでいる理由について、同局は「高年齢者でも危険な現場で働かざるを得ない傾向があるのではないか」と推測。「事業者に現場の安全点検などを徹底するよう指導していきたい」としている。

 県内の労災による死者が、このまま全国最悪となれば、2003年に107人が亡くなって以来となる。 

 (山本真嗣)