2011/11/11
市農業センター売店 → なごやか市場
外郭団体の公募管理職・山川さん
野菜栽培や家畜の飼育を学習、体験できる市農業センター(天白区天白町平針)で、地場野菜などの売店が「なごやか市場」として生まれ変わり、人気を集めている。改装を手がけたのは、山川正廣さん(63)。売店業務を担う市の外郭団体・みどりの協会に、民間から初めて迎えられた。百貨店で鍛えた販促スキルを駆使して改革に乗り出している。 (池田千晶)
トマト、キュウリ、ジャガイモ…。センター内や近郊農家で収穫された野菜や果物が竹かごや木箱にきれいに並ぶ。九月下旬に新装オープンした150平方メートルの売店内は、最近各地で人気を集める「道の駅」のようだ。
夫としばしば訪れるという女性は「すっきりして買い物しやすくなった」。山川さんは満足そうにうなずいた。
山川さんは松坂屋に定年まで勤め、2年間の嘱託を経て今年4月、みどりの協会に。協会は、市の外郭団体改革の流れを受け、市OB職員らで占められていた管理職ポストを今春、初めて一般公募した。山川さんのほかアパレル、金融、旅行業界出身の計4人が民間から採用された。
新設の営業推進室長を任された山川さんは、3カ月かけて協会が管理する各施設を調査。売店や飲食店では、小売業のノウハウがないことに驚かされた。
「これではお客さんに失礼。百貨店レベルは無理としても最低限までは引き上げよう」。手始めに、商品がバラバラのケースに乱雑に置かれ、客足が遠のいていた農業センターの売店を改装することにした。
「レジと作業場が遠くて移動が大変」といった販売員の声も生かし、レイアウトを変更。ベビーカーや車いすが通りやすいよう通路を広くし、レジの位置も変えた。おそろいのエプロンをつくり、玄関前には赤いパラソルとデッキチェアを設置。さらに、休館日前日の日曜午後3時からは「夕はんの市」として野菜を中心に半額セールを始めた。
閑散としていた店内ににぎわいが戻り、前年比85%に落ち込んでいた毎月の売り上げは、改装後に同120%と大幅アップ。250万円の改装費用は、早くも回収できる見通しだ。
「役所出身の人は、形はつくるけど実行したり新しいことをするのは苦手で、弊害が店に表れていた。改革の効果がてきめんに出てやりがいがある」と山川さん。「少しは新しい風を吹き込めたかな」と新天地での仕事に手応えを感じている。
今後は、東谷山フルーツパーク(守山区)や徳川園(東区)など他の施設でも売店の改装から魅力あるイベント開催まで知恵を注ぐつもりだ。
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