2011/08/29
国内企業 節電にも一役
災害時の備えや節電対策の強化を目的に、企業が在宅勤務制度を拡充・活用する動きが広がっている。東日本大震災による交通網の混乱や電力不足の影響で業務に支障が生じた教訓から、在宅勤務の重要性が再認識されているためだ。
帝人は東京電力管内に勤務する全社員約2000人を対象に自宅から本社のネットワークにアクセスできるようにするなど在宅勤務の利用環境整備に乗り出した。同社は「災害が起きてからでは遅いので、まずは準備が必要と考えた」と話す。
NTTはこの夏から半日の在宅勤務を導入し、出社時間を午前と午後に分けた。フロアごとに出社時間を決め、一斉に消灯できることなどから「一定の節電効果が出ている」(広報)という。
日立製作所は在宅勤務の対象を総合職から全社員に広げた。ソフトバンクも営業部門にも取り入れた。NECは輪番休業日に業務が必要な場合は在宅勤務を認めることにしたほか、新入社員も利用を可能にした。
在宅勤務で企業が最も心配するのは、社外でのパソコン利用時の情報流出だ。導入や拡充の機運が広がる中、情報管理を強化するためのサービスも登場している。NECはハードディスクを搭載しない「シンククライアント」を端末に使い、自宅のPCにデータを残さずに作業できるシステムの販売を強化した。
在宅勤務は過去に新型インフルエンザ対策などとして注目され、総務省は2015年までに在宅勤務者を現在より倍増させ、700万人増やす計画を打ち出している。しかし、これまでは制度ができても本格的な活用に二の足を踏む企業は少なくなかった。
日本テレワーク協会によると、コストや働き方の変化に対する抵抗感が本格的な普及に向けた課題。同協会は「在宅勤務を、災害時などでも事業を継続するための柱として明確に位置付けることが大事だ」と話す。
【在宅勤務】
パソコンや電話を使って会社や取引先などと連絡を取りながら自宅で仕事をする働き方。身体障害者や育児、介護に携わる社員の就労支援なそどを理由に2000年代以降、国内で急速に導入が進んだ。仕事の生産性向上や交通機関の利用減少に伴う二酸化炭素(Co2)の削減効果もメリットだとされる。政府は仕事と家庭生活を調和させる「ワークライフバランス」の実現や人材確保などの観点から普及を目指している。
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