2011/08/17
車業界土日操業→大型免許講習が盛況
先行き不安視「仕事の幅 増やしたい」
この夏、愛知県三河地方の自動車学校で大型自動車の免許取得を目指す人が増えている。背景にあるのは東北大震災に伴う節電対策として自動車業界が7月から導入した「木金休み」。震災や円高による業績不振や先行きを不安視する自動車業界の関係者の一部は、平日休みを自分への投資に使い、キャリアアップはもとより、転職のきっかけも模索している。
愛知県知立市の知立自動車学校。金曜の日中、敷地内を11トントラック3台が走り回る。副管理者の伊藤誠さん(52)は「一台は事故や故障に備えた予備車なので、普段は2台しか使わないが、最近は3台ともフル回転」と話す。
これまで同校の大型免許の教習生が30人を超えることはなかったが、8月17日現在、40人以上が在籍。予約は木、金曜に集中している。トヨタ自動車のお膝元の三河地方では、取引企業の多くが木、金曜休みの土日操業を導入しており、愛知県内で数十万人が影響を受けたとされる。
同県豊田市の川崎好史さん(33)が勤める自動車部品メーカーも木、金曜が休み。「震災以降、仕事が減り給料が安定しなくなった。土日は家族サービスで忙しい。平日休みになったのを機に大型免許を取って、運送業界を目指そうと思った」と転職の契機になったことを明かす。
トヨタの自動車部品を運ぶ運送会社勤務の同県岡崎市、鳥居良祐さん(29)も「仕事の幅を増やすやめに大型を取りに来た」。トヨタ社員の山川千尋さん(37)は「仕事に生かせる大型を取りに来たが、ここまで混んでいるとは。自分が働いている会社の影響の大きさを感じる」と苦笑した。
同県西尾市の西尾自動車学校も大型免許の教習生が昨年比で1・5倍になった。名古屋市でも三河地方に近い緑区にある緑ヶ丘自動車学校の担当者は「木、金曜に普通車以外の予約が確実に増えた。バスの運転に必要な大型2種も増えているから、明らかに転職狙いの人も多い」と話す。自動車業界の「木金休み」は9月30日まで。少子化による教習生の減少で苦境に立つ自動車学校だが、休日分散化で思わぬ恩恵を受けている。
岐阜、三重県内の自動車学校でも同様の傾向はあるが、三河地方のような顕著な変化は出ていない。
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