2011/08/13
既存事務所飽和、就活短く…
法科大学院を卒業し新司法試験を経た弁護士志望者で、法律事務所などへの就職が決まらない司法修習生の割合が年々拡大している。修習を終え弁護士登録をする12月半ばまで約5カ月となった7月の調査では、回答した903人のうち、43%が進路未定で、昨年より8ポイント増加。日弁連は「既存事務所への就職は飽和状態になりつつある」と危機感を募らせている。
法曹人口の大幅な増員を目指した司法制度改革に伴う新試験は2006年から始まり、修習期間は1年間。日弁連は07年から進路調査を実施している。弁護士志望者の7月時点の調査では、07年は未定者が8%だったのに、翌年以降は17%、24%、35%と高くなり、今年は43%となった。
(1)新試験開始後、既に多くの新人を受け入れ、新たな人材を採用しにくい(2)修習期間が旧試験より短縮され、就職活動に費やせる時間が減少している-などが原因と分析。日弁連は、企業や官公庁に所属する「組織内弁護士」としての就職支援も進めており、幅広い働き方を提案して、状況改善につなげたい考えだ。
【法曹人口問題】
多様な法的ニーズに応えるため、司法制度改革審議会が2001年、法曹三者の人口を5万人に増やすことや法科大学院の創設を提言し、政府は翌年、司法試験合格者を10年ごろに年3000人まで増やす計画を閣議決定。法科大学院修了者を対象とした新試験が06年に始まり、07~10年は旧試験と合わせ合格者が2000人を超えた。しかし新人弁護士の就職難などが問題化。日弁連は今年3月、「実際の法的需要とのバランスを欠く面があり、経験や能力が十分でない弁護士が増えて市民の権利保障に支障が出る恐れがある」と合格者の減員を求めた。
転職・求人情報検索(名古屋市・愛知県・岐阜県・三重県)はトップから