2011/06/29
福島発 防災製品を
◆まず2人採用 地元ニーズの反映、目標
東日本大震災の被災地に雇用の場を生み出そうと、福島県いわき市に今月初旬、作業所を新設した制御盤メーカーの三笠製作所(愛知県犬山市)。被災者2人を雇用し、本格生産に向けた準備を進めている。作業所では、被災地のニーズを反映させた防災用工業製品を開発するという目標も。「メード・イン・フクシマ」の製品を世界に発信し、原発事故によるマイナスイメージの払拭を目指す。
(矢野修平)
同社の石田繁樹社長(39)は「被災地支援には雇用創出しかない」と、震災発生1ヵ月後にいわき市へ飛び込んだ。作業所開設のめどをつけ、5月中に3度足を運んで計15人を面接、男女1人ずつを雇用した。
採用された男性は、いわき市の柳内洋道さん(32)。妻(28)の実家が震災で全壊し、自宅に避難した妻の父親の生活を支えていたが、3月末、契約社員として勤めていた包装工場から契約打ち切りを言い渡された。その悔しさと不安を、面接で石田社長にぶつけた。
採用後、柳内さんは余震が続く福島に妻を残し、「早く仕事を覚えたい」と犬山工場での研修を志願。20日から25日まで電線加工の作業を学んだ。
いわき市の作業所では今後、犬山工場から回した簡単な電線加工に取り組む。石田社長は秋までに15人前後の内職の雇用を計画。制御盤製作の経験者も雇い、東北地方の取引先から直接受注できる体制を整える。
事業を軌道に乗せた後の目標も見据える。被災者の経験を聞き取り、「こんな器具があれば被害が防げた」という防災製品を開発することだ。インターネットで知り合った東京都大田区の町工場の経営者たちと連携して、3年以内に製品化。いわき市の作業所で生産する構想を描く。
7月2日にいわき市で、趣旨に賛同する大学教授らを交えて初会議を開き、アイデアを出し合う。「フクシマを世界一の防災用品のブランドに変えたい」。石田社長の夢は、被災地支援にとどまらない。
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