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【社会】職場のいじめ防げ 相談件数急増 厚労省 労士の円卓会議発足へ

2011/06/28

 厚生労働省は、職場での上司のパワーハラスメントや同僚によるいじめの対策について話し合う円卓会議を7月に立ち上げ、2011年度内をめどに提言をまとめる方針を明らかにした。いじめや嫌がらせに関する労働相談が急増しており、労使や専門家が参加する会議で実効性のあるいじめ防止策を検討する。

 会議はメンタルヘルスや法律、労務管理の専門家のほか、先進的なパワハラ対策を実施している企業の経営者らも参加。上司の暴言などのパワハラを未然に防ぐため、管理職を啓発する方法や、いじめに関する相談があった場合の企業や組合の具体的な対応策などを議論する予定。

 厚労省によると、労働基準監督署などに寄せられた職場でのトラブルに関する相談のうち「いじめ・嫌がらせ」は10年度で3万9千405件に達し、解雇に続いて2番目に多い。いじめ・嫌がらせ相談の割合も02年度は5・8%だったが、10年度は13・9と大幅に伸びている。

 精神疾患による労災補償申請は、上司とのトラブルやいじめ・嫌がらせなどをきっかけとするケースが合計で2割強を占め、うつ病など心の大きな要因になっている。

 しかし、いじめの加害者とされる上司の動機が必ずしも悪意からではなく「部下を鍛えたい」との熱意だったり、当事者双方が組合員だったりするなど企業や労働組合が対策をとりづらい側面がある。各地の労働局などの公的な相談機関も、会社内の人間関係に踏み込んだ対応が難しく、社内での積極的な話し合いを助言する程度にとどまっているケースが多い。

 同省は円卓会議で、いじめの実態などを踏まえて防止につながる具体策を議論、労使に接触的な取り組みを促す。