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【経済】中部主要企業 4割が「来春採用増」

2011/06/03

「減」1割 震災影響は限定的

 中日新聞社が中部地方に拠点を置く主要企業を対象にした採用・雇用アンケートで、2012年春の採用計画人数を今春実績より「増やす」と答えた企業は約4割となり、16・5%にとどまった1年前の前回調査から大幅に増加した。一方で「減らす」企業は前回の2割から1割に減少。東日本大震災による採用計画人数への影響は今のところ限定的といえそうだ。

 前年と比較できる企業の12年春の採用計画人数の合計は、11年春の採用実績の約1・2倍だった。採用計画人数はリーマン・ショック以降、2年連続で減少し、前回調査では前年の9割強にとどまっていたが、ようや回復基調に転じた。

 「同水準に据え置く」企業の割合は、前回調査と同じほぼ4割。「減らす」「未定」と答えた各1割の企業とともに理由を聞いたところ、「人員不足が解消された」が最も多かった。人員構成の重視や、中長期の採用計画通りとする回答も目立ち、震災の影響で減らすとした企業は少なかった。

 アンケートは中部9県に本社や拠点を置く上場企業など137社を対象に4~5月に実施し、124社から回答を得た。回答率は90・5%

 ◆海外需要で積極姿勢 約8割が被災者に配慮

 今回の採用・雇用アンケートでは採用人数を今春実績より「増やす」とした企業数が「減らす」企業数を3年ぶりに上回り、東日本大震災による景気停滞や円高といった先行き不透明な環境下でも、増員を必要とする企業が増えたことを浮き彫りにした。

 「減らす」「採用しない」とした企業は計10・5%にとどまり、「同水準に据え置く」「未定」も合わせた中で、「震災の影響」を理由に挙げた企業は3社(約4%)だけだった。

 一方で「増やす」と答えた企業は昨年調査から22・2ポイント増加。理由は「事業強化」「海外展開」などで、旺盛な海外需要などを見込んだ積極姿勢がうかがえる。森精機製作所は「受注増による増産対応えおアフターサービスの強化」を理由に前年度の約3割増に拡大。トヨタ自動車は「不足が想定される技術員を中心に補う」として1・9倍の計画を示した。「厳しい就職環境を踏まえ社会的要請に応える」(愛知銀行)との回答もあった。

 また「本社で正社員として採用する外国人」については、海外事業の強化を図るスズキやイビデンなど16・1%が「11年度より増やす」と回答。「減らす」と答えた企業はなく、製造業を中心に外国人獲得への意欲が年々高まっていることを示した。

 被災者採用にも前向きな姿勢が表れ、「全体の選考を遅らせる」とした企業が3割弱、「被災者の選考を遅らせる」が2割強。「震災で就職内定を取り消された学生を対象に、最大150人を追加採用する」(スギ薬局)、「被災者を対象に工事事務担当者を募った」(徳倉建設)など、別途採用枠を設けた企業もあった。個別相談なども含め、何らかの対応をとるとする企業は全体の約8割に上った。