2011/06/02
県内の介護現場で深刻な人手不足が続く中、介護を担う人材確保を狙った資格取得の無料研修会が定員を超える人気を集めている。無料研修を実施する財団法人介護労働安定センター三重支所(津市)の山下久義所長は「就職を後押しして人材の定着につなげたい」と話している。
同支所は厚生労働省の交付金事業として、2008年度から「介護職員基礎研修」を実施。求職者に職業訓練として介護の基礎講座と実習を行っており、受講者は修了すれば在宅介護の「ホームヘルパー1級」を上回る介護の総合資格を取得できる。
1日には津市内で本年度の開講式があり、定員いっぱいの40人が出席した。講習時間500時間、期間は6カ月に及ぶが、本年度は76人から応募があった。山下所長は「最近は2~4倍の応募がある。無料で充実した内容が支持されており、昨年度は修了者の9割が介護分野に就職した」と説明する。
受講する四日市市川原町の黒田雅美さん(31)は「手に職をつけ、年を重ねても続けられる介護の仕事に魅力を感じた。時間をかけてしっかり勉強したい」と意欲をみせた。
一方、介護現場は人集めに苦しんでいるのが実情。三重労働局によると、求職者1人に対する求人数を示す4月の有効求人倍率は0・7倍だが、介護分野に限れば1・92倍。求人枠1882人に対し、求職者は1048人にとどまる。
慢性的な人手不足の理由として、同支所の介護能力開発アドバイザーで介護福祉士の花崎正子さんは「介護現場は賃金が安く長時間労働になりがちで、辞めてしまう人が多い」と指摘。そのため「最近は介護現場も職員の資格取得を後押しするなど、定着率のアップに取り組んでいる」という。
(宿谷紀子)
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