2011/04/12
東日本大震災の影響でトヨタ自動車など多くの製造業が通常生産再開に手間取る中、東海地方の部品メーカーでも、国が休業手当の一部を助成する「雇用調整助成金」(雇調金)を申し込む企業が増えてきた。トヨタは今月18日から全工場で生産再開するが、当面は操業率が5割程度にとどまる見通し。部品メーカーに防衛策の動きが広がっている。
「リーマン・ショックの100倍ひどい状況。今回は作りたくても作れない」。既に雇調金申請手続きをした愛知県豊田市の部品メーカー社長は苦境を訴える。従業員は6割が出勤しているが、稼動は1割程度という。
生産ペースが元に戻る見通しが立たないのに、人件費など固定費はかさむ一方。東海地方の別の自動車部品メーカー幹部も「売上高は前年同期の4~5割に落ち込んでいる」とこぼし、雇調金申請を考えはじめた。会社では売上高の3割を占めるトヨタ向け専用ラインがストップ。「うちを含め大半の部品メーカーが申請するのでは」と話す。
トヨタ自体や、大手部品メーカーのデンソー、アイシン精機などには申請の動きはないが、トヨタ系企業では愛三工業(愛知県大府市)とフタバ産業(同県岡崎市)が申し込み手続きに入った。トヨタ生産子会社の関東自動車工業(神奈川県横須賀市)は申請する方向で検討中だ。
愛知労働局によると、今年3月の雇調金の届出の受理件数は6千154件で、2月から14%増加。12ヶ月ぶりに前月を上回った。
雇調金届け出の月間件数の過去最高は、リーマン・ショックの余波で2009年10月に記録した1万件余。同労働局の担当者は「トヨタが全工場の操業再開を発表しなかったら、(最高記録を)超えるペースだったかも」と話し、今後の動向も「トヨタの生産ラインの動き具合が大きく影響する」とみている。
(藤嶋崇、小野谷公宏、豊田支局・杉山直之)
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