2011/04/07
大震災は雇用の場も奪った。被災地では会社や工場が津波に流され、失業、休職に追い込まれる人や内定取り消しを受ける新卒者が続出している。ハローワークには連日多くの人が訪れるが、地元の求人は限られ再就職の道は厳しい。
「魚の卸会社に15年務めていたが、魚が水揚げできないので解雇された。先のことは考えられない」。6日、宮城県気仙沼市役所のロビーで、市内の男性(34)がぼうぜんとした様子で漏らした。
市内に4万人いる労働者のうち、7割は加工や流通を含めた水産業関係者とされる。津波で船は陸に打上げられ、漁具販売や水産加工の会社、工場も壊滅的な被害を受けた。
ハローワークも機能不全に陥り、間借りしている市役所1階には多い日は300人以上が並ぶ。だが地元での求人は建設工事や清掃業務など震災復興関係がほとんど。地元経済を支えてきた水産業界の求人はほとんどない。
新卒者にも暗い影を落とす。地元の石巻工業高校では1人が内定を取り消され、23人が入社延期となった。今野好彦教頭(50)は「連絡がとれてもいつ再開できるか分からない企業もある」と困惑する。
水産業界に多くの人材を送り出す宮城県水産高校でも1人が内定を取り消され、さらに増える可能性があるという。佐々木武弘教頭(50)は「希望する職に就くには、日本全国や海外に目を向けなければならない」と厳しい表情を浮かべた。
宮城労働局の担当者は「避難所などで聞き取りすると、地元で働きたいという人が多いが、現状では一人1人の条件や能力を生かせる求人は県内に少ない」と話している。(鷲野史彦)
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