中日新聞CHUNICHI WEB

就職・転職ニュース

  • 無料会員登録
  • マイページ

【愛知】「家族守るため 早く」 見知らぬ土地で職探し

2011/03/25

名古屋へ避難 ブラジル人

 福島第一原発の事故で、福島県南相馬市から名古屋市に避難してきたフェヘイラ・ジミツリーさん(33)一家にとって、今の課題は、見知らぬ土地での職探しだ。「一日でも早く普通の生活を取り戻したい」と願う。

 ブラジル人のジミツリーさんは妻恵美さん(35)と娘3人の一家5人で名古屋の市営住宅に身を寄せている。

 南相馬市を離れる決断をしたのは、原発の事故が明らかになった12日。車中泊で栃木、東京を転々としながら21日に、名古屋にたどりついた、着の身着のままで自宅を出たため、手持ちの現金はほとんどない。予想以上に寒い名古屋の夜を毛布1枚で過ごし、子どもたちは風邪をひいた。窮状を知った近所の人たちが布団や生活用品を差し入れてくれたおかげで急場はしのげた。

 南相馬市では、美容師をしている恵美さんとの共働きだった。余震におびえる子どもたちを見て「今はそばにいてあげたい」と恵美さんは、しばらく働きには出ないつもりだ。

 英語教師だったジミツリーさんは連日、ハローワークに通い、ようやく求人を1件、見つけた。近く面接を受ける予定だが「もしダメだったら、力仕事でも何でも構わない」と腹をくくる。

 地震の揺れが去っても、被ばくの不安が頭をよぎる。「南相馬にはもう戻れないかもしれない。でも、どこにいても家族を守るのが僕の役目」。ジミツリーさんは2歳の末娘を抱き寄せた。