2011/02/09
非喫煙のみ募集の大学、IT系など動き顕著
喫煙していると、将来は就職に不利かも-。そんな調査結果を厚生労働省の研究班がまとめた。「喫煙者不採用」に踏み切った企業や、入学後の禁煙を出願の条件とする大学も出てきた。禁煙に取り組む企業や大学に考えを聞いた。 (山本哲正)
「本人と周囲の健康を害する恐れがあり、商談、会議で相手を不愉快にする。ビジネスマナー違反だ」と厳しいのは、システム開発のエスエムジー(横浜市港北区)。喫煙者は採用しないという徹底ぶりだ。同社では10年前、喫煙者の頻繁な離席が問題になり、会議の末、2、3割を占めた喫煙者は禁煙を目指すことに。喫煙者の不採用を決めたのもこのころだ。採用チームの鈴木達夫さん(37)は「入社志望者が減る心配は無用だった。社の姿勢に共感する学生が集まってくる」と話す。
かつて喫煙していた中村泰造さん(56)は「周りが吸わないから、吸いたいという誘惑はない」。喫煙者は現在1人だけ。喫煙のため離席して、7分以内に戻らないときや、離席中に本人への電話があった場合などは、社内親睦費を1回につき1000円多く負担するルールができたという。
このほか、観光会社の星野リゾート(長野県軽井沢町)も喫煙者は不採用だ。製薬会社ファイザー(東京都渋谷区)は入社までに禁煙を求める。主に快適、健康イメージを重視する業種、精密機器を扱うIT関連で禁煙の動きが顕著だ。
北海道薬科大(小樽市)は2009年度入学者から、募集要項で「医療関係者として将来にわたり吸わないと確約できる者」を出願資格にしている。同大の担当者は「医療に携わる者として、たばこを吸わないことは当たり前」と話す。
在学中に喫煙が判明すると、訓告などの処分や禁煙指導がある。これまでに喫煙が判明して処分された学生はおらず、学内には喫煙場所がない。教職員も禁煙だ。
愛知きわみ看護短大(愛知県一宮市)は08年度入学者から出願書類に「たばこを吸わない」と記入させ、崇城大薬学部(熊本市)は11年度入試から、募集要項に「入学者は非喫煙者に限定」と明示している。
都内では先月、厚労省研究班の調査結果を報告するシンポジウム「就活と喫煙にまつわる不都合な真実」が開かれ、6社の人事担当者らが語り合った。広告会社マッキャン・ワールドグループホールディングスは「喫煙は採用に影響しない」とする立場だが、同社の永崎謙太郎氏は「実社会では禁煙環境で仕事をすることもある。吸わないと、頭がリフレッシュできないようではいけない」と話した。
転職・求人情報検索(名古屋市・愛知県・岐阜県・三重県)はトップから