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【経済】既卒者採用でトヨタなど「新卒」扱い 大手企業に導入拡大

2011/01/19

◆政府提案に対応
 大学や高校などの卒業後3年間は「新卒」扱いにするよう産業界に求めた政府の提案に対し、トヨタ自動車やみずほフィナンシャルグループなど多くの企業が、就業経験のない場合に「既卒」と「新卒」を区別しない方針を決めたことが、分かった。深刻化する就職難を背景に、2012年春の採用から同様の方式を導入する企業が相次ぎそうだ。

 新卒枠で選考に臨めないケースが多い既卒者は就職活動が一段と厳しくなっていたが、企業の姿勢変更で、既卒者の再挑戦の道が開かれるなど就職活動の選択肢が増えそうだ。

 トヨタは募集要項の応募資格に、12年4月入社の採用では、新卒者に加え、大学などを「08年4月~11年3月に卒業・修了された方」と表現。卒業後3年以内の既卒者も新卒者と同じ扱いにした。

 NTTや大阪ガス、オムロン、シャープ、住友生命保険、三菱化学などもこの方式の導入を決定。大半は12年春入社から、卒業後3年以内で就業経験のない既卒者を新卒とみなす。

 みずほは、卒業後数年間の既卒者を13年春入社から新卒として適用することを検討。12年春に前倒しする可能性もある。

 こうした方式を導入する理由は「政府の方針に従った」(トヨタ)、「人材の多様化を図る」(三菱化学)を挙げた。

 これまでもソニー、三菱商事、三井住友銀行や東邦銀行(福島市)などが、就業経験がない学生について、新卒と既卒を区別せずに採用。日本経団連の調査では、4割近い企業がすでにこうした方式を導入しているか実施を決めているという。

 リーマン・ショック後に企業が採用を絞った結果、10年以降の就職状況は厳しく、今春卒業予定の大学生の就職内定率も過去最低水準に。10年春に希望通り就職できないまま卒業した大学生は約3万1000人と、09年春に比べて約2・2倍だった。新卒扱いを受けるために留年する学生も目立っていた。