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【暮らし】<はたらく>就職内定者座談会(上) 理不尽な面接 不信募る

2011/01/07

 三月卒業予定の大学生の就職内定率は、過去最低の57・6%(昨年十月現在)を記録している。内定を得た学生らは、例年になく厳しい就職活動をどう乗り越えたのか。四人の学生に、座談会で自身の就活を振り返ってもらった。 (聞き手・福沢英里)

 -就活の流れは。

 A 三年生の六月ごろからマイナビ、リクナビなどの就活準備サイトで希望企業を登録しておく。十月に入ると「エントリー」扱いになり、採用に関する情報が見られる。

 B 秋から合同企業説明会が増えた。授業に出られず、卒業できるか心配だった。夜行バスで名古屋から東京の説明会に行ったとき、朝八時に会場に着くと十時開場なのにもう学生が待っていた。会場のナゴヤドームを一周して並んだこともある。

 C 二月中旬からは毎日のように各企業の説明会。渡されたエントリーシートに志望動機や自己PRを書き込み、期日までに提出する。スケジュール管理が大変だった。

 -各企業説明会の予約は取りにくい?

 C ネット予約なのでアクセスが殺到するとつながらず、つながったと思ったら締め切られていた。予約できなくても、本当に希望する企業の説明会なら当日、会場に行ってやる気をアピールするのもありだと思う。

 A 予約開始時間を告げるメールが携帯電話に届くと、授業中でも抜け出してパソコン室へ走った。後輩たちは、七、八割がスマートフォン(多機能携帯電話)を持っている。授業中に予約したり、エントリーシートを書いたりできるから。

 D 大学院の授業は一年生でほぼ終わり、授業を気にすることなく就職活動ができた。ただ教授は「さっさと終えて研究を」と就活に冷たかった。

 -インターンシップ(就業体験)は。

 B 大学の紹介で一カ月参加した。グループで課題に取り組み、発表する内容。インターンシップに参加するには自己PRなどを書いて提出する必要がある。参加することで、早い時期にそういうことを考えられた。

 C 一日だけ参加して証券会社の業務内容などの説明を受けた。ネットで得る企業情報より分かりやすく、就活の入り口として良かった。

 A 仕事の具体的な内容を知らないまま、あこがれだけで商社を希望していた。商社二社のインターンシップに参加して、志望をメーカーに変えた。

 -面接の様子は。

 C 面接というか、金融系は若い社員(リクルーター)による採用活動が多く、「質問会」という名目で、ホテルのラウンジなどに呼び出された。「二十年後のキャリアプランは」と聞かれ、必死に答えると「君のプランじゃ出世できない」と一方的に怒られた。「リクルーター制度はない」と言っていた企業のリクルーターから電話があったことも。「企業が言うことは全部うそ」と思った。

 A 十日間連続でリクルーターに呼び出され、突然、連絡が途絶えたという友人がいた。「就活はライアーゲーム(うそのつき合い)」と言っていた。

 B その場で、出された課題について話し合って発表するグループ討論による面接が苦手で、何社も落ちた。班の中で主導的でなくても、自分なりの役割やポジションがつかめれば良かったかもしれない。

  =次回は十四日掲載

 ◆座談会参加者

 Aさん(22) 私大文系男子、メーカー内定。約100社にアプローチして3社から内定。一人旅の経験から「素早い行動力」をPR。

 Bさん(22) 私大文系女子、広告代理店内定。就職活動を通じ、良い印象を持っていなかった営業職がやりがいのある仕事だと気付いた。

 Cさん(22) 国立大理系男子、地方銀行内定。理系のため文系企業の情報やOBが少なく苦戦。「常に強気で攻めた」

 Dさん(24) 国立大(院)理系男子、通信会社内定。友人と就職活動の勉強会サークルをつくり、苦手な面接対策に励んだ。