2010/12/25
少子化や晩婚化で縮小する印象のある挙式市場。しかし、まだまだ伸びが期待できる“有望株”があるという。それは、いわゆる「できちゃった婚」や「子連れ婚」など、世相を反映して多様化するカップルの挙式への対応だ。
3大都市圏を中心に営業を展開する海外挙式専業大手のワールドブライダル(名古屋市)は来年1月から、できちゃった婚、子連れ婚に的を絞った海外挙式プランを業界で初めて販売する。同社ではこうした挙式が年々増加傾向にあり、景気回復感もあった今年は特に急増。4月から先月末までで172組を手掛け、昨年度の120組を大きく上回った。
「すぐに式を開かなければ」「結婚直後は式を挙げられなかったけれど…」「再婚して子どもと一緒に」-。できちゃった婚、子連れ婚のカップルは、こぢんまりとした式を望む傾向が強い。久保実企画課長は「身内だけ10人前後の出席が主流の海外挙式に合っている」と話す。
以前からチャペルなど自前の施設を持つグアムを中心に、託児サービスや現地での病院サポートなどの対応は図っていたが、この急増ぶりに着目。専用プランを前面に出すことで、本格的に取り込みを図ることにした。
新プランでは、ミキハウスブランドを展開する三起商行(大阪府八尾市)と提携。挙式カップルにオリジナルの熊の縫いぐるみを贈る。利用者への提案力も強化。マタニティー専用新作ウエディングドレスを従来の5倍の50点に増やすほか、慣れない海外でも安心してもらおうと、ベテランスタッフを配置。来年は300組の販売目標を掲げる。
ワールドブライダルによると、国内の年間婚姻数は約70万組で、このうち挙式するのは6割弱。海外挙式はさらにその1割の4万組余りで、業界内の争奪戦は厳しい。
海外挙式は需要の変動も激しく、2008年度が年間2500組あった同社の挙式数は昨年度、2000組に急減した。景気動向だけでなく、自然災害や新型インフルエンザなどのリスクで増減する海外旅行者数とほぼ同じ動きを示す。
ただ、式を挙げない30万組は未開拓の宝の山ともいえ、来年4月には、海外旅行に略式の挙式を組み合わせた「熟年婚」向けプランの販売を予定する。桃井徹社長は「さらに挙式の多様化への対応を進めて、商機としたい」と鼻息が荒い。
(鈴木智重)
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