2010/12/24
大学卒業後に、専門学校で学び直す人が増えている。具体的な就活ノウハウを二人三脚で教えたり、就職に有利な資格取得がウリだ。大卒でも就職が難しい「就職氷河期」に、大学にはない支援の手厚さが魅力のようだ。 (小形佳奈)
「もっと具体的に何ができるのかアピールできないと伝わらないぞ。なんで、どうしてそう思うの」
ビジネス系専門学校大手の大原学園東京校(東京都千代田区)が、今春開設したビジネス専攻コースの模擬面接試験の授業。「物事を最後までやり遂げる力があります」と自分の長所を語る学生に、担任の千葉博さんは語気を強めた。
「面白くない」「独り善がり」。次々と繰り出す厳しい指摘に泣きだす学生もいる。座り方や女子学生のメークにまで指摘が飛ぶ。こうした指導で学生たちは面接を突破する力をつけていく。
大卒者に専門学校人気がじわりと広がっている。文部科学省の学校基本調査によると、本年度の専門学校入学者二十六万六千九百十五人のうち、大学・短大などの卒業者は二万四千八百六十三人(約9・3%)と少しずつ増えてきている。
大原学園でも、首都圏にある系列校に今春入学した四千八百五十四人のうち、五百四十九人(約11%)が、大学・短大卒業もしくは中退後に入学した学生だという。
人気の秘密は面倒見の良さだ。一年制のビジネス専攻コースは、大学・短大の卒業生が対象。学生の大半が昨年度の就活に失敗している。ファイナンシャルプランナーなどの資格取得を目指しながら、実践的な就活ノウハウを身に付けさせる。
面接対策を学びながら、担任と学生が面談を繰り返して就職希望企業を決める。面接翌日には反省点を洗い出し次の面接に備える。こうした指導で三十八人中、三十五人(今月二十日現在)が内定を得た。内定後も入社準備をフォローする。
大学を今春卒業した男子学生(23)は、在学中に金融業界約五十社を回ったが、結果が出なかった。「資格が取れ、新卒扱いで就職活動ができる」と同コースに入学。六月に地元スーパーから内定を得た。
入学金と学費で百二十六万円かかるが、「内定を取るだけでなく、企業が求めるビジネススキルも身に付けられる」と就職部の堤敦本部長は話す。
柔道整復師や介護福祉士など医療系・福祉系の学校にも、大卒後に社会人を経験した人の入学が目立つようになった。東京都専修学校各種学校協会が東京都内の三百六十九校を対象に昨年度行った調査によると、なかでも「はり・きゅう・あんまマッサージ指圧」課程は、入学者の三割を大卒者が占めた。
東京医療専門学校(新宿区)では今年、鍼灸(しんきゅう)マッサージ科に入学した六十二人のうち、三十六人が大卒者。村居真琴校長は「国家試験に合格し、いずれ独立開業を望む学生が多い」と話す。
キャリア・カウンセラーでリクルートの情報誌「稼げる資格」編集長の乾喜一郎さんは「何となく学生時代を過ごした人たちは、進路選択に突き当たり、専門学校に『就職塾』の役割を求めているのだろう」と分析する。
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