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【石川】「金沢和傘」 伝統守れ 若手職人が「つなぎ」学ぶ

2010/12/14

美濃和傘の講師迎え

 和装に彩りを添える伝統工芸「金沢和傘」の存続を目指し、若手職人らが立ち上げた金沢和傘伝承研究会の実習が十二日、同市小将町の加賀友禅伝統産業会館であり、「つなぎ」と呼ばれる工程の基本的な製作技法を学んだ。

 和傘の主産地、岐阜県から美濃和傘製造元「マルト藤沢」の藤沢健一代表取締役と職人の中村美智子さんを講師に迎えた。傘の中心になる木製部品「ろくろ」と竹骨を合繊繊維や綿糸などでつなぐ作業を体験した。

 市によると、江戸期から伝わる金沢和傘も時代とともに廃れ、現在では伝統的な職人は一人だけ。昨年十二月、市の呼び掛けに表具や木工、竹工芸の若手職人らが研究会を設立。本業の傍ら、実習を開いたり、自主的に習熟に努めている。

 藤沢さんによると、美濃和傘は戦後間もない一九五〇年のピーク時に年間で千二百万~千五百万本生産。洋傘の普及などで徐々に衰退したが、現在は野だてや舞踊、舞台など用途も多様化。世界への発信も視野に「文化行政も大切。日本の文化を守らなければならない」と話した。 (田嶋豊)

竹骨とろくろのつなぎを説明する中村さん(右から2人目)=金沢市小将町で
竹骨とろくろのつなぎを説明する中村さん(右から2人目)=金沢市小将町で