2010/12/06
戦略を提案し成果を挙げる
若手公務員の力で地元の産業に元気を-。富士市職員が20~30代の有志を中心に、民間企業の発想を学ぼうと自主的に立ち上げた勉強会「ビズ会」が結婚式場の顧客開拓や地場産茶の販売促進で成果を挙げている。指南役の市産業支援センター(エフビズ)は「将来は“お役所仕事”などと批判を言わせない、斬新な考え方をフル活用できる行政マンに」と、一人一人の成長に期待を寄せている。 (富士通信部・林啓太)
3日夜、富士市平垣本町のホテルグランド富士。チャペルの祭壇前で、若い男性が恋人の女性に指輪を差し出した。女性は驚いてはにかみながら受け取り、2人で「恋人証明書」にサインした。
この男女、実はビズ会員の市職員。この日は同会のチャペル利活用案の発表会で、ムードたっぷりのプロポーズは、提案を実演した一コマだった。
会員らは同ホテルと提携し、同僚の市職員にアンケートするなど、富士地域の式場市場を調査してきた。その成果として提案したのは、空き時間のチャペルを最長10分間、500円で貸し出し、“恋人式”を挙げてもらうプラン。「チャペルの素晴らしさを印象付ければ、結婚式でも使ってもらえるはず」。発表者の説明に、ホテルの職員らは熱心に聞き入っていた。
ビズ会は昨年11月に発足。現在は男女16人が月1回、市内で集まり、エフビズの小出宗昭センター長を講師に民間企業の販売戦略を学んでいる。
エフビズは、市の委託を受けた経営コンサルティング会社が運営。地域経済の活性化を目指し、県内の中小企業や商店の起業・経営相談に応じてきた。小出センター長は「若手公務員の能力の向上が、地域の産業の発展にもつながる」と講師を引き受けている。
ビズ会は、民間企業と提携して新商品やサービスを開発する実習も始めた。富士市の製茶会社が、富士宮市で8月に開かれた日本ジャンボリーに出店した時も、販売戦略を企画。デザインが得意な男性職員がボーイスカウトの制服に着想を得た図柄の商品袋を開発。女性職員らが茶娘姿で店頭に立ち、500円の茶葉400袋を完売した。
茶娘役にも挑戦した国民健康保険課の角入あゆ美さん(28)は「相手に喜んでもらうサービスを提供することの大切さをあらためて実感した」とうれしそう。小出センター長は「公務員が自主的に民間の発想を学ぶ勉強会は全国的にも珍しいのでは。この積極性を行政にも生かしてもらいたい」と若手職員らの頑張りを見守っている。
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