2010/12/01
土木建設、不動産、外食など、これまでに14事業を手がけました。大きな失敗もありましたよ。でも、そのおかげで「お客さまの要求が一番大事」と分かり、今のスポーツクラブ事業にも生かされています。
もともとは学生時代、芝生販売をやっていた実家で、在庫の山を見るに見かねて手伝い始めたことがきっかけ。交渉相手からアドバイスをもらったりしているうちに売れるようになり、ビジネスの面白さを知りました。
ブームだったゴルフ場建設に注目して28歳で建設会社をつくりました。注文住宅を手掛けた時は、第1号のお客さまに「実は初めてで実績がないんです」と打ち明けると「これが実績になるのだからしっかり頑張って」と励まされて感激しましたね。
分譲マンションにも進出しましたが、第1号は高級瓦を使うなどこだわりすぎて、(価格が)当時の相場の1・5倍に。大失敗して胃を壊しました。お客さまは「安く買いたい」、でも私がつくったのはいい商品だけど高かった。本当の要求に気づいてなかったんですね。2年かけてようやく完売にこぎつけました。
スポーツクラブを展開することにしたのは、健康に対する関心は高く、ニーズがあるとにらんだんです。フィットネス事業は手がけたことがなく手探り状態でしたが、今は全国展開して38店舗に増やしました。
大事にしたのは「初心者目線」。初心者の利用が多いスタジオでは、楽しみながら続けられるように、簡単で飽きさせないプログラムづくりに気を配りました。露天風呂も大人気で、お風呂だけ入りに来る方もいらっしゃるほどです。
ほかの会社よりも社員のやる気があると思いますよ。社員は163人で、8割はインストラクターでわが社の“スター”です。ある意味、人気商売ですから。平均年齢は26歳で、主な上場企業の中で最も若いとされています。中には25歳の店長もいます。
自分のことを認められればやる気がでるものです。意欲にあふれた子もいれば、遅いペースの子もいる。やる気を引き出すことが大事ですね。
スポーツクラブは私自身も使ってますよ。建設業の時は82キロあった体重が、今は64キロ。血圧も下がって健康になりました。社長の私がやせることで、PRにもなりますしね。
(聞き手・今村 節、写真・佐藤春彦)
【くつな・としひろ】 1951年生まれ。愛知工業大経営学部卒業後、父の造園工事会社入社。79年に土木建設業「東和建設」を立ち上げた。96年にスポーツクラブ事業を始め、愛知県安城市に第1号店「ホリデイスポーツクラブ三河安城」をオープン。99年に分譲マンション販売、スポーツクラブ事業など4社を合併して「東祥」(安城市)を設立、2004年にジャスダック証券取引所に上場した。
転職・求人情報検索(名古屋市・愛知県・岐阜県・三重県)はトップから