2010/11/29
大卒内定率 東北や中国・四国以下
大学生の就職率が、「氷河期」といわれた2000年代前半より冷え込んでいる。文部科学省などが今月中旬に発表した、来春卒業予定の学生の就職内定率(10月1日の内定解禁時)は中部地方で52%と、東北や中国・四国地方より低い状況。調査を始めた1996年以降で最悪だ。2人に1人が内定を得られない事態に学生も大学も戸惑っている。
「私の考えが甘かった」。名古屋大大学院2年の女子学生(24)が深いため息をつく。1年前から就職活動を始め、メーカーや物流会社など70~80社に申し込んだが、内定はゼロ。周りでは大学3年の夏から希望企業でインターンシップ(就業体験)をしたり、役に立ちそうな資格を取っていた。不況下では「名大」の看板だけでは通用しない。
「両親にこれ以上負担をかけられない。既卒になると就職はもっと難しい」。目標を国家公務員に切り替え、猛勉強中という。
ライター志望の名古屋外国語大4年の女子学生(21)は、十数社の出版社に申し込んだ。しかし、筆記試験止まりで面接にたどり着けない。足を運んだ就職セミナーでは、業界でも知名度の低い会社のブースに学生が殺到した。「内定が貰えればどこでもいいという状況です」
就職氷河期でも、大学生の内定率は60%台だった。今年は全国平均で58%。製造業に陰りが出てきた中部地方は昨年より10ポイント近くも低下した。
この異常事態に、大学側も動きだしている。愛知東邦大(名古屋市)は希望者に毎年行ってきた1泊2日の「就職合宿」を昨年から全員に義務付けた。
13日からの合宿には経営学部の3年生44人が参加。企業の人事担当経験者が面接官となり、「おじきのタイミングが悪い」「待ち時間の態度も見られている」と実践的な助言をした。参加した学生の丸山靖憲さん(20)は「面接に自信ができた。スタートラインには他の学生よりは先に立てたと思う」。
愛知大は今月、保護者を対象にした就職セミナーを開いた。企業の人事担当者ら4人を講師に招き、学生の就職活動に親からの側面支援を要請する形。保護者800人が参加した。
大学3年生にとって、就職活動の事実上のスタートは12月。厳しい戦いが始まる。
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