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【愛知】社労士事務所 子育て応援中 女性が働きやすい職場へ

2010/11/25

顧客にも育休活用助言

 中区丸の内2の社会保険労務士事務所が、子育て中の女性が働きやすい環境づくりに取り組んでいる。代表の石野晴美さん(42)に育児経験はないが、主婦をしながら試験を突破したこともあって、家庭と仕事の両立に理解が深い。「不慮の事態もあるが、乗り越えれば、結束力が高まる」と、顧客に育児休業の活用を助言している。(丸田稔之)

◇女性が働きやすい職場へ

 石野さんは神戸市出身。結婚と夫の転勤で二度、勤務先を退職した。「再就職先を探したときは、何枚も履歴書が返ってきた」と苦労を振り返る。名古屋に住み始めた1998年に社会保険労務士(社労士)試験に合格、2年後に独立した。

 2008年4月に、子育て中の女性を採用。今年4月には2人の小学生を育てる小嶋智子さん(40)も加わった。8年間主婦だった小嶋さんは2年前、今後のキャリアを石野さんに相談。社労士に魅力を感じ、10ヶ月で試験に通った。

 スタッフの勤務は午前10時ごろから午後3、4時まで。7月上旬、2人とも子どもが体調を崩し、1週間休んだ。最も忙しい時期に1人で仕事を終えた石野さんは「あの時は頭に血が上った」と苦笑いをする。

 週明けに2人の申し訳なさそうな表情を見て、責める気を失った。「普段の仕事ぶりから責任感が強いのは分かっている」。夫が単身赴任中の小嶋さんは「家庭の都合で突然休むといたたまれない気持ちになるけど、安心して働くことができている」と喜ぶ。

 事務所の顧客は中小企業が多い。育児制度の導入は遅れがちだ。経営者が勤務体系や待遇に不安を感じるのは分かるが、出産や育児を理由に退職を強要するのは違法。労使トラブルにつながりかねない。「国の助成制度や実体験を伝えると『社員の育休は初めてだけど、やってみよう』と前向きな顧客が出てきた」。石野さんはうれしそうに話した。

【社会保険労務士】
 労働・社会保険や人事・労務管理を企業や個人に助言する。国家資格。2010年度の合格率は8・6%。合格者の女性比率は36%