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【暮らし】<はたらく>広がる母親の再就職支援 勉強会、ハローワーク利用を

2010/11/05

 出産などで職場を離れた女性の再就職を支援する動きが広がっている。労働力人口の減少で女性の活躍が期待され、家計の都合からも働きたい女性は多いが、再就職は容易ではないのが現実。市民レベルの勉強会やハローワークを上手に利用して、働く道につなげたい。 (福沢英里)

 「これまで仕事で工夫したり、ほめられたりしたことを書き出してください」

 岐阜県恵那市で九月末に開かれた「子育てママの再就職勉強会」。講師の指示で、参加した母親たちはワークシートに向かった。

 主催したのは、子育てサロンの運営などをしているNPO法人「みんなで子育てドロップス」。駒宮優子代表は「サロンにハローワークの求人情報を置くとすぐに無くなる。母親同士で学ぶ機会を持ちたかった」と語る。

 地元ハローワークの相談員が講師を務め、ワークシートによる自己分析のほか、地元の雇用状況や職業訓練などの説明も。「子連れで気軽に相談を」の一言に、母親らの表情が緩んだ。参加者からは「働きたいママが大勢いると知って励みになった」「家で一人で考えていても始まらない。勉強になった」などの声が聞かれた。

 昨年から全国で始まった「NECワーキングマザーサロン」は、母親同士が語り合う。NPO法人マドレボニータ(東京)とNEC社会貢献室が開催。就職活動のノウハウを学ぶのではなく、同じ立場の仲間と話すことで「自分はどう働くか」を明確にして、社会復帰への意欲を高める。

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 育児休業制度は整いつつあるが、日本では依然として女性が出産後も仕事を続けるのは難しい。国立社会保障・人口問題研究所の二〇〇五年の調査では、出産前に働いていた女性の六割強が出産を機に仕事を辞めている。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの〇八年の「両立支援に係る諸問題に関する総合的調査研究」では、妊娠出産前後の退職理由は「家事・育児に専念するため」が最も多かった。が、「仕事と育児の両立の難しさで辞めた」も26%あった。両立が難しい理由は「勤務時間が合わない」「職場に両立を支援する雰囲気がない」「自分の体力がもたなそう」などが挙がった。

 中小企業の正社員として経理事務をしていた愛知県の主婦(40)は昨年十一月、第一子出産のため産前産後休業の取得を申し出たところ、解雇された。

 夫はビル清掃業を営むが、収入は安定しない。「夫婦どちらかは安定した収入を」と五月の出産直前まで就職活動を続けたが、年齢や子どもの預け先が決まっていないなどで、面接にもたどりつけなかった。現在は、正社員や定時の事務職などと限定せず、範囲を広げて職探しを続ける。

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 厳しい再就職に向けて、力強い味方にしたいのが子育て中の求職者を支援するマザーズハローワーク。担当者制による一貫した支援に取り組む。

 「あいちマザーズハローワーク」子育て支援連携推進員の梶川則子さんは、「多くの求職者が抱える不安は、ブランクと年齢、子どもを持って働くことが社会に受け入れられるかの三つ」と語る。

 求職者には、自分発見セミナーに参加してもらい、不安をぬぐい去る。働いていた当時を振り返って自分の強みを整理し、自分の価値に気付いてもらうことも。

 面接練習では、子の体調が悪いときの対応策を用意しておき、「多少のことでは休まない」という前向きな姿勢を見せる、などのアドバイスもする。

 同ワークの神谷理子次長は「求職中こそ一人で考え込まず、多くの人とかかわる中で、就職へとつなげる自信を深めてほしい」と話している。