2010/10/15
失業率が5%前後と高止まりする中、国の職業紹介施設であるハローワーク(公共職業安定所)には連日、職を求めて多くの人が訪れる。待ち時間の長さや求人の内容に不満の声も上がるが、利用は無料で、求人数も豊富。新たな求職支援にも取り組んでおり、上手に利用したい。 (服部利崇)
「四カ月仕事がない。希望は倉庫作業だが求人がない」。求職中の男性(33)が肩を落とした。東京都墨田区のハローワーク墨田。五十の相談窓口と七十八台の求人検索端末に空きはなく、ロビーまで人があふれる。受け付けは四十分待ちだ。
厚生労働省が七月に実施した利用者出口調査によると、調査した全国九十九カ所のうち九十五カ所で、「待ち時間が長い」との不満が寄せられた。
東京労働局は昨年度、都内十七カ所のハローワークで相談窓口を増やしたが、混雑解消には至っていない。同局職業安定課の根岸栄子課長補佐は「じっくり相談に乗りたいが待っている人もいる。こなす相談業務にならないか心配」と話す。
求人の質も課題。求職中の男性(37)は「相手企業に面接をすっぽかされた。いい求人を集めて」と注文する。最近は正社員求人が減っている。また事務系が民間の人材紹介会社と比べて少ないなど、ミスマッチも指摘される。根岸課長補佐は「求人は商品。求人開拓にもっと力を入れる必要がある」と認める。
ハローワークの業務は、職業紹介のほか就職支援、雇用保険事務など多岐にわたる。正規職員は全国で一万一千八百六十一人、非常勤職員は一万七千五百六十三人。厚労省によると職員一人当たりの労働力人口は五千五百七十九人で、英国四百五十人、ドイツ四百六十七人などと比べかなり貧弱。充実した態勢づくりも求められる。
実際に職探しで利用する場合、どうすればいいのか。
まず受付で求職申込書をもらい、求職者登録をする。求人検索端末だけでも仕事は探せるが、相談窓口を活用したい。
ハローワーク墨田の前田徳英所長は「どんな仕事が向いているか相談に乗れるし、『こんなスキルがある』と企業への売り込みができる」と語る。スキル不足が分かれば、職業訓練もあっせんしてくれる。
希望の仕事が見つかったら紹介状をもらい、面接や書類選考に臨む。ハローワークでは履歴書の書き方、面接などの各種セミナーもある。受け付けは先着順が基本だが、きめ細かい支援が必要な人には、予約制のマンツーマン支援もある。
「スタッフは女性だけ。広いフロアで、ゆったり職探しができた」と振り返る横浜市のパート女性(42)が利用したのはマザーズハローワーク。子育て中の女性らに特化した支援施設で二〇〇六年度にでき、東京、千葉、神奈川、愛知、大阪など全国十二カ所にある。
ハローワークには全国五百四十五カ所(出張所・分室含む)と別に、支援対象を絞った出先施設がある。マザーズのほか、非正規労働者対象の「キャリアアップ」、四十歳以上の管理職、専門・技術職対象の「人材銀行」も。
九月には都道府県に一カ所ずつ「新卒応援」が設置された。卒業後三年以内の既卒者も対象。中小企業とのマッチング強化のため、大卒就職ジョブサポーターを五百二十人増やした。
東京の「新卒応援」がある学生職業総合支援センター(東京都港区)では、職業興味検査や、面接にふさわしいメーク・服装セミナーなど、経験の浅い若年層向けのメニューを用意。社会人としての心構えも指導している。
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