2010/07/27
リサイクル市場の活況を追い風に、インターネットの中古書店を運営する「ネットオフ」(愛知県大府市)が業績を伸ばしている。成長の源泉は「トヨタ生産方式」を取り入れた効率的な物流・管理体制。ブランド品なども扱う総合リサイクル業者として次の飛躍を目指す。
約100万点の中古本やDVDなどが保管された、大府市内にある約6600平方メートルの巨大倉庫。ここがネットオフの“心臓部”の物流センターだ。商品の注文や買い取り依頼で一日に出入りする商品は3万~4万点。査定や梱包(こんぽう)、搬送など一連の作業を、従業員が無駄のない動作でテキパキこなしていく。
創業は2000年。社長の黒田武志さん(44)は元トヨタ自動車社員だ。「アフターサービス部門にいた際、カー用品店事業の立ち上げに携わったことで起業に興味を抱いた」
雑誌に載っていたブックオフコーポレーション(相模原市)のベンチャー支援制度が偶然目に留まり、応募。ブックオフ店頭でのアルバイトを経て独立を認められた。
古巣のトヨタの支援を受け、情報提供サービス「GAZOO(ガズー)」事業と提携しスタート。ただ、当初は「先行投資がかさんだことや、業務効率の悪さから採算ラインに届かなかった」と黒田さん。
打開したのはトヨタ生産方式による「カイゼン」だった。トヨタやデンソーのOBから指南を受け、従業員の動作を秒単位で計測したり、搬送用カートを改良したりと地道な活動を続けた。
「ペースメーカー」と呼ばれるスタッフを置いたのも特徴。各工程の作業ペースを管理するため、ホワイトボードに仕事の進捗(しんちょく)を示して“見える化”し、全体の効率アップにつなげた。
会員数は右肩上がりで伸びており、現在は約160万人。10年9月期の売り上げ予想は約35億円で、こちらも創業からの連続増収が続く見込みだ。
ことし第2の物流センターを大府市内の別の場所に開設し、ブランド品やゴルフ用品など中古品全般を扱う総合リサイクル業者として業容を拡大、将来は海外進出も夢に描く。「『リサイクル先進国』のビジネスモデルを世界に発信していきたい」
(瀬戸勝之)
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