2010/07/01
雇用情勢が厳しいなか、大学生の就職内定率が過去最悪に迫るなど、若年者の雇用が脅かされています。15歳から24歳のうち約10%は失業状態です。また、就職していても約半数が非正規の働き方を強いられています。不安定な雇用環境は少子化にも影響します。若年層への対策が求められています。
二〇一〇年三月卒の大学生の就職内定率は91・8%と前年同期を3・9ポイント下回り、過去最低だった〇〇年の91・1%に迫る状況でした。就職内定率は就職希望者に占める就職者の割合です。就職希望者も減少しているなかで内定率が悪化しているのは、若年層の厳しい雇用情勢を反映しています。
四年制大学の卒業生の就職率は、〇九年で68・4%と七割程度です。ところが、せっかく企業に就職しても三年以内に離職する若者が後を絶ちません。
●3年で離職3割半ば
新規学卒就職者の在職期間別離職率をみると、〇六年に正規雇用(正社員)として就職した大学卒業生のうち〇九年三月末までの三年間に離職した割合は34・2%に達しています。以前は20%台でしたが、徐々に離職率が高まりました。
大卒の三年以内の離職率は三割という定説が四割に近づきつつあります。
離職の理由としては、労働政策研究・研修機構の調査(〇七年)によると「仕事上のストレス・人間関係がつらい」「給与に不満」「労働時間が長い」「会社の将来性に期待できない」などが上位に挙げられています。
離職すれば失業に陥ります。〇九年の完全失業率は5・1%と前年に比べ約1ポイントの上昇でした。とくに、十五歳から二十四歳の失業率は9・1%と前年比約2ポイントも上昇するなど、他の年齢層に比べ高くなっています。
しかも、就職していても、その働き方は正社員ではなく、派遣など非正規社員が増加しています。十五歳から二十四歳までの非正規社員割合は男性で約40%、女性で約50%も占めています。
●広がる賃金格差
非正規の働き方は不安定な雇用であり、生活も不安定になります。
二十歳から二十四歳の正社員と非正規社員の男性の平均賃金を比較してみましょう。月額賃金の差は三万円程度です。
しかし、日本型雇用が崩れたと指摘されるものの、年功賃金制による収入の違いは大きいものです。正社員が年齢とともに賃金が上昇していくのに対し、非正規社員はキャリアアップが難しく賃金が上昇しません。
このため年齢計(全年齢平均)で比較すると、男性で月額十二万円、女性で七万円の差が生じています。非正規社員を続ければ続けるほど、収入差が大きくなります。
不安定な雇用を強いられる若年層が半数近くになる状態が続けば、将来的に格差が広がる社会になります。
若者の雇用環境の悪化は、少子化の原因でもあり、早急な若者の雇用対策が求められます。
転職・求人情報検索(名古屋市・愛知県・岐阜県・三重県)はトップから