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<若者と政治>(上) 7割「国政に声届かぬ」

2010/06/19

 参院選を前に、中日新聞社と、大学生らで組織するNPO法人「ドットジェイピー」東海支部は若者の政治意識を探るため、選挙権を持つ県内の大学生200人を対象にアンケートをした。その結果、7割近くが若者の意見や考えが国政に届いていないと回答。一方で、自身の生活や暮らしについては3人に1人が悪化するとの見通しを示し、就職難や増税への懸念から将来に不安を抱く若者像の一端が浮き彫りになった。アンケート結果を2回に分けて検証する。  (参院選取材班)


 アンケートは菅直人首相が誕生した後の6~12日に実施。名古屋大や南山大などに通う男女らに面談方式で実施した。

 「今の若者の考えや意見が国政に届いているか」との設問では、「思う」と回答したのは全体のわずか2%。「思わない」は69・5%で「分からない」は28・5%だった。

 「思わない」の理由では「高齢者や子ども向けの政策はあるが、若者向けはない」「若者は無関心というイメージが定着し、政治家は関心を持たない」「国政に携わる人は年配の人が多い」など政治への不満が多かった。「若者自身が政治に関心を持たないから」など自らの責任を問う意見もあった。

 昨年の政権交代に伴う変化に関し、この1年間の生活や暮らしぶりを尋ねたところ「良くなった」(5・5%)と「やや良くなった」(18・5%)を合わせ、上向いたとの回答が24%。「悪くなった」(3・5%)と「やや悪くなった」(12・5%)の計16%を上回った。「変わらない」は60%だった。

 しかし、先行きでは「良くなる」(12・2%)と「やや良くなる」(16・2%)が計28・4%。「悪くなる」(7・6%)と「やや悪くなる」(24・4%)が計32%で逆転し「変わらない」も39・6%に減少した。


 悪化する理由では「就職難が続きそう」「親の会社の状況が良くない」などのほか「少子高齢化で国民負担が増える」「ばらまき政策で国の財政赤字が心配」など将来の増税を懸念材料に挙げていた。

◆関心は?「就職」がトップ
 大学生に「いま関心のある身近な話題」(複数回答)を尋ねたところ、半数以上が「就職」と回答。「進学」とともに将来の進路に関心が高いことが分かった。

 就職以外ではクラブ活動や交友関係、バイトなど学生生活に関するものがある一方、自分の老後や親の介護などの回答があった。

 政治に期待する事(複数回答)では就職難を反映し「景気・雇用」が40・1%でトップ。「財政再建」が16・7%で続き、国の借金体質とそれに伴う将来の負担増への警戒を示す結果となった。ほかは「年金・医療」(13・4%)「教育・子育て」(11%)などで、米軍普天間飛行場の移設問題など「外交・安保」は7・3%と低かった。

 【NPO法人「ドットジェイピー」】 若者の政治意識の向上を目的に、1990年代後半から大学生による議員インターンシップ(就業体験)活動への関心が高まり、2000年に設立された。全国10支部、約200人の大学生スタッフらが中心となり、国会議員や地方議員の仕事を学生が現場体験する橋渡しの活動や、政治意識調査などを実施している。東海支部(相磯友哉代表)は名古屋大、南山大、三重大の学生12人が運営している。