2010/05/21
文部科学省などが21日にまとめた就職状況調査で、今春卒業した大学生、高校生の就職戦線が前年より冷え込んでいた状況が明らかになった。「厳しかった」「来春も難しい」。東海地方の大学、高校の就職担当者や進路指導の教師らからは、悲鳴まじりの声が上がっている。
中京大(名古屋市)では、自動車関連産業の不況を背景に、今春卒業した学生への求人数が前年比で2割ほど減ったという。来春卒業予定の学生については大手を中心にやや持ち直しているが「昨年は相当厳しかった。状況は変わっていない」とキャリアセンター主任野田真人さんは危機感を募らせる。
就職活動中の学生からは「企業の説明会がすぐに満席になってしまう」との声が上がり、野田さんは「まるで人気のコンサートチケットを取るような感じ。説明会に参加しなければ、採用選考に進めない」と説明する。
岐阜大(岐阜市)の就職率は3月末時点で約96%で、前年に比べ2ポイントほど低下。同大就職支援室の伴場宏二室長は「求人数も前年比15%減。採用を絞る動きがあり厳しかった」と振り返った。
同大工学部の卒業生580人のうち、2008年度は半数程度だった大学院進学者が、今春は350人と10%程度増加。「専門性を高めようという意識とともに、数年後の景気好転をにらんでいるのでは」(同室長)とみている。
愛知県豊川市の豊川工業高校では09年度の求人倍率が前年度の6・4倍から3・7倍に激減。10月上旬までに決まる1次内定率も94%から83%に下がり、厳しさを実感したという。最終的に100%就職決定にこぎつけたが、進路指導担当の鈴木敬尚教諭は「まじめでおとなしいだけでは厳しい。意欲をアピールできるよう指導を強めたい」と話す。
三重県四日市市の四日市農芸高校では、今春の卒業生のうち、139人が就職を希望し、98%を超える内定率を確保した。求職数を上回る求人数はあったが、製造業の不調の影響で物流、販売、サービス業などの求人が前年から半減したという。進路指導主事の岩田礼子教諭は「食品製造業の求人が減らなかったことが救いだった」と振り返る。
(中日新聞)
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