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【社会】働く女性、ひったくり被害増 東海の各県警が対策本腰

2010/05/12

 名古屋市を筆頭に、東海地方でもひったくりの被害が止まらない。被害者のほとんどは女性で、20代、30代が増えている。残業で帰宅が遅れた時、外食の帰り…。一定の収入がある働き盛りの女性たちが、最大のターゲットになっている。被害を食い止めようと、各県警が対策を強化している。

 「犯人は顔を見られることを嫌います。時々、後ろを振り返って警戒していることをアピールして。わずか数秒の動作でも被害防止につながります」。名古屋市中川区の企業で行われた防犯講座。ずらりと並んだ女性社員を前に、女性警察官がポイントを伝えた。

 愛知県内の被害者の9割は女性。働く世代は地域で集まる機会が少なく、啓発をしにくい側面があった。県警は企業での講座に加え、3月から緊急の対策として、交通機関と連携し、列車内で注意を呼び掛け、駅周辺の現場でひったくりが起きたことを知らせる取り組みも始めた。

 以前は年間3000件以上あった愛知県のひったくり被害。行政と一体となった街頭防犯活動の強化で、2006年を境に半減したが、昨年の統計でも依然、1日4・3件のペースで発生。被害総額は1億円を超える。

 被害者の年代別に見ると、20代、30代が全体の43%を占め、前年の38%から大幅に拡大した。発生時間帯も日中が減り、午後10時以降の深夜が急増した。


 岐阜県も女性の被害が8割に上り、年代別では20代が15人と最多。ただ、発生件数自体は前年に比べ45件も減っている。

 岐阜県警生活安全総務課は「警備会社によるパトロールや、連続発生したひったくりを摘発できた効果が出たのでは」と分析する。

 三重県でも、9割が女性の被害者。70代以上が42人と最も多く、次に20代の31人が続く。発生も増加傾向。発生場所や時間帯を分析して各署が重点的にパトロールしている。

 若い女性に多いのが音楽を聴く、メールを打つなどの「ながら」歩きだ。愛知県警地域安全対策課は「歩行中はバイクや自転車の音に気を配って。かばんは抱えるか、斜め掛けに」と呼び掛けている。

 また、女性の場合、財布と携帯電話や自宅の鍵も同じかばんに入れる人が多い。被害に遭ってもすぐに通報できず、家に入れないケースも少なくない。

女性社員にひったくりなど犯罪の防止を呼び掛ける警察官=4月、名古屋市中川区の企業で
女性社員にひったくりなど犯罪の防止を呼び掛ける警察官=4月、名古屋市中川区の企業で