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【静岡】起業へ『萌え』る 駿河区の短大生がエスパルスドリームプラザに出店

2010/04/16

 萌(も)えはいかが-。常葉学園短大2年の松本結花さん(19)=静岡市駿河区=が、アニメの美少女キャラクターなど「萌え系」と呼ばれるグッズを販売するショップを、エスパルスドリームプラザ(同市清水区)に期間限定で出店した。「就職が厳しい時代。それなら、将来は自分の好きな萌えをビジネスにしたい」。この店を出発点に、夢への第一歩を踏み出す。(静岡総局・加藤隆士)

 松本さんは、萌えをこよなく愛する学生3人でつくったサークル「アリス・トライアングル・プロダクション」の代表。アリスは、2月に静岡市創業支援施設「SOHOしずおか」が行ったビジネスプランのコンテストで萌えビジネスを提案し、学生部門の優秀賞を受けた。松本さんは受賞に背中を押され、出店を決意した。

 そのプランを基に、両親が経営する玩具製造販売会社の協力も得て、サークル名を冠したショップをオープンしてから1週間ほど。狭い店内には、美少女キャラクターのプリントが入った小物類、メード服姿の人形など約250種類の萌え商品がずらりと並ぶ。

 特に力を注いでいるのが、衣装に見立て、携帯電話やペットボトルにかぶせるカバー。自らデザインし、価格は2000円前後。「衣装を着せることで、素っ気ない物でも自分だけのかわいい萌えになる」。店の雰囲気にも気を配り、マスコットを描いたピンクの壁紙を張って、店全体で萌えの世界を演出した。

 周囲も、松本さんの挑戦を後押しする。SOHOしずおかの担当者は「萌えはアジアでも注目度が高まってきている」と、ビジネスとしての可能性に太鼓判を押す。

 他店より割安の出店料で松本さんを迎えたドリームプラザの担当者も「正直、まだまだ海のものとも山のものともつかないが、若い人の頑張りに期待したい」と支える。起業を目指す若者に出店させるのは、今回が初めてという。

 出店は5月30日まで。松本さんは「5年ぐらい前なら、萌えは気持ち悪いと後ろ指をさされたけれど、今は堂々と胸を張ってオタクができる。自信はないが、どれだけ萌えビジネスをできるのか試してみたい」。

 手応えをつかむことができれば本格的に起業して、日本だけでなくアジアの市場へも。そんな夢を膨らませている。