2010/04/11
名古屋市内に外国人登録をするブラジル人の4割近くが住む港区の区役所に1月、市内で初めてポルトガル語通訳の職員が配置された。対応するのは週1、2回だが、健康保険や年金の支払い、子どもの入園手続きの相談など、3カ月余りで既に延べ130人が利用した。中には何年も放置していた手続きを終え、ほっとした表情を見せるブラジル人もいる。
「就職の見込みはどうですか」。港区役所1階。国民健康保険の相談にきた区内の40代のブラジル人女性に、通訳で日系2世の中林アンジェラ麗華さん(38)が、区職員の質問や説明を伝える。
女性は「言葉が分からず、制度や煩雑な手続きが理解できなくて3年近く何もできずにいた。通訳の人が来ると聞いてすぐに来た。本当にありがたい」と話す。健康保険が無かったため、家族の治療費が10万円かかった月もあったという。
市内に外国人登録をしているブラジル人5574人のうち、港区には2136人が住む。これまでは、名古屋国際センターの嘱託職員が月2回区役所に派遣されていたが、多い日には30人が来ることも。このため、1月から、毎週月曜と日曜開庁日の午前中に、専任の通訳を配置した。
中林さんも一日20人の通訳をしたことがある。「一人当たりの時間もかかる。座る暇はない」と中林さん。「不景気のせいか失業した人が目立つ。保険料や税金の分割払いや減免の相談も多い」
支払い通知が来ても、日本語が読めず何の支払いか分からない人も。どのくらい払えるのか、払える見通しは-。職員との間に立ち、“交渉”のようになることもある。
就職や住宅相談、転校や入国管理局の手続き、子どもがうつ病になった-。区の業務以外の相談もある。「寂しいのか顔を見せに来る人もいる」。この3カ月で就職相談は減ったが「仕事は紹介できないことが浸透したのかもしれない。以前は5人のうち3人は失業中で、2人は給料が少ないという感じだった。仕事が無くて帰国した人も多い」と話す。
熱田区や北区から、相談に来る人もいる。中林さんは「市内でも少しずつ通訳が増えていったら」と話した。
(片山夏子)
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