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やってみました 記者たちの職業体験ルポ グリーンキーパー

2010/04/07

全コース毎日目配り

 ゴルフシーズン到来-。暖かい気候になりラウンドが楽しい季節だが、気持ちいいプレーを陰で支える人がいる。「グリーンキーパー」。別名「芝生の管理人」だ。でも、実際はどうやってるの? 愛好者の一人として知っておくべきだと思い、田原市伊良湖町の伊良湖シーサイドゴルフ倶楽部(くらぶ)を訪れた。
 出迎えてくれたのはサブキーパーの沢田英敏さん(41)。一日の仕事を聞くと「毎朝晩コースを回って芝に病気や虫が発生していないかなどを確かめる。グリーンだけでなくラフやフェアウエーもです」。キーパーはグリーンの整備だけでなく、コース全体の状態を管理しているのだ。

 早速ホール内のグリーン上へ。芝生の負担を減らすためカップの位置を毎日変える「カップ切り」を習うことにした。グリーンに入ると沢田さんは先端がカップ状の形をした特殊カッターを一気に芝に突き刺し、ねじりながら先端を押し込んだ。

 「垂直に刺さっているか確かめます」。沢田さんと一緒に刺さったままのカッターから数メートル離れてあらゆる角度から見回す。確かに垂直だ。それを確かめると最後にカッターをもう一押し。土から取り出すと見事に直径約十一センチ、深さ約二十センチの穴があいた。

 「では元のカップ位置に土を戻してください」。バケツ内の掘り出した土を記者の手で埋め戻す。土が余らないように金属棒を使って少しずつ押し込んだ。グリーン上に段差ができないように、最後に芝の部分を戻して完了。芝の表面にはうっすらと円形の痕跡が残るだけになった。

 ほっとしていると沢田さんはグリーンを見回しながら芝の状態をチェックしていた。「季節や天候、土壌の状態によって肥料や農薬、殺虫剤などを毎日与えるのです」。沢田さんが指さした部分を凝視すると、微妙に芝の色が違う部分を見つけた。傷みの兆候と言われてもプレーヤーには分からないほど。キーパーの目は厳しい。

 管理棟に戻ると、農薬などの散布量を毎日まとめた資料も見せてくれた。やりがいを聞くと「しっかり仕事をすれば芝も応えてくれる。お客さんが芝の状態を喜んでくれるとうれしい」。最盛期の何カ月も前から計算して手入れを続けるという職人技とプロ意識に感服した。(藤原哲也)

 【メモ】特別な資格はなく、ゴルフ場のコース管理部などに勤務して経験を磨くのが一般的。ただし、芝生の管理全般を担う立場になれば県認定の農薬管理指導士や日本芝草研究開発機構認定の芝草管理技術者資格などが求められる場合が多い。

グリーン上で慎重にカップを切る沢田英敏さん=田原市伊良湖町の伊良湖シーサイドゴルフ倶楽部で
グリーン上で慎重にカップを切る沢田英敏さん=田原市伊良湖町の伊良湖シーサイドゴルフ倶楽部で