2010/03/27
醤油(しょうゆ)を“主役”にしたい-。じり貧が続く醤油業界で岐阜市の山川醸造が奮闘している。ユニークな発想で次々に新商品を生み出し、新たな味わい方を提案。需要のすそ野拡大に成果を挙げている。
「アイスクリームにかける醤油」「醤油チョコあられ」「醤油生キャラメル」「はちみつ醤油バター」
名前を聞いただけでは想像しにくい商品の数々。いずれも「食べてすぐに『おいしい』といってもらえる商品を作りたい」という社長の山川晃生さん(51)の自信作だ。
山川さんが三代目の社長に就任した十一年前。醤油の消費量は落ち込みが続き、取引は飲食店をはじめとする外食業への卸売りだけだった。蔵を一つ閉めて生産縮小を図ったが、先行きの展望は描けなかった。
多くの消費者にとって食の“脇役”にすぎない醤油を、何とか“主役”の座に引き上げられないか。模索した末にたどりついたのが、お菓子用に醤油を使うことだった。
そして二〇〇七年、発売にこぎ着けたのが「アイスクリームにかける醤油」。水あめを混ぜたとろみのある醤油は、バニラアイスにかけるとみたらし団子のような味。醤油のうまみを引き立たせ、珍しさもあって好評を呼んだ。
これを機に、既成概念にとらわれない新商品を次々に開発する。醤油で焼いたあられをチョコレートで包んだ「醤油チョコあられ」は、温泉旅館などで扱われている。大手スーパーの店頭に並ぶ商品や、ゲームセンターのクレーンゲーム機の景品として話題を呼ぶ商品もあり、一時は最盛期の三分の二にまで落ち込んでいた売上高は上昇に転じた。
〇八年からは、一般消費者に蔵を開放するイベントも開催。地元・岐阜などの飲食店にも醤油を使った洋菓子やパンの開発を持ちかけ、続々と新たな醤油スイーツが誕生しつつある。
「自分がおいしいと思うものを食べてもらいたい」と話す山川さん。「共感してくれる店が増え、岐阜が“醤油スイーツの街”になれば面白い」と夢は広がる。
(細川浩一)
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