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【元気のタネ】感動をオンエア 名古屋の映像制作「クライムキューブ」

2010/03/16

 「花嫁テレビ」。披露宴の演出映像を制作するクライムキューブ(名古屋市東区)が展開しているインターネットの動画サイトだ。自社で撮影した一般カップルの挙式の模様をまとめ、未来の花嫁たちに参考にしてもらおうという新サービス。来年7月に予定される地上デジタル放送への完全移行を見据え、目指すのは、結婚情報に特化した“専門放送局”だ。

 同社はテレビ業界出身の社長、泉野民比古さん(50)が2005年に設立したベンチャー企業。主に新郎新婦のプロフィルビデオやホームページ制作、披露宴で流す映画仕立ての映像「エンドロール」を手掛けている。

 その日の披露宴の光景までエンドロールに取り込んでしまうという、テレビ局顔負けのスピード編集が売り。

 「結婚式の感動をテレビのニュースのように早く伝えたい」と泉野さん。起業前、放送プロダクションでカメラマンや番組プロデューサーとして鳴らした経験が生きている。

 その泉野さんが「作った映像を、もっと多くの人に喜んでもらえる方法はないか」と考案したのが花嫁テレビだ。「ケーキカット」「余興」「花束贈呈」などのテーマごとに分けた16チャンネルで構成。同社が収録した一般カップルの映像を数分間に編集し、承諾を得た上でネットで無料配信している。

 一昨年秋にスタートし、現在の収録数は約800本に達した。女性たちからは「自分のきれいな姿を多くの人に見てもらえる」と好評だ。

 結婚に特化して情報を発信することで、結婚式場やハネムーンを扱う旅行会社との提携、バナー広告の獲得にもつながっている。

 地デジ時代を迎えれば、放送免許を持たなくても、携帯電話向けのワンセグ放送が可能になる。「誰でもネット上に放送局を持てるようになり、情報発信しやすくなる。中小企業にとってビジネスチャンス」と泉野さん。

 売上高は2010年3月期見込みの3億3000万円から、5年後までに3倍の10億円を目指す。

 (細井卓也)

接客中に「花嫁テレビ」のサイト画面を見せる泉野民比古社長(右)=名古屋市内のホテルで
接客中に「花嫁テレビ」のサイト画面を見せる泉野民比古社長(右)=名古屋市内のホテルで