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【静岡】ニートの就労、失業者が支援 三島のNPOが「ジョブコーチ」制度

2010/03/07

 不登校の子どもやニートの支援に取り組む三島市のNPO法人「リベラヒューマンサポート」は、2010年度から、失業者を雇用し、就労の難しい若者らに就業指導をしてもらう「ジョブコーチ」制度を始める。若者の就労支援を進めると同時に、ジョブコーチとなった人には、リベラが展開していく収益事業の運営などを通じて“起業家”を目指してもらう計画だ。 (三島通信部・酒井健)

 ジョブコーチ制度は、既存の企業社会から外れた人同士をつなぎ「新しい社会参加の形をつくること」(リベラの三好悠久彦理事長)が目的。失業者からコーチを募るのは、技術指導だけでなく、社会人生活の楽しさや、逆につらいことが起きた際の心の持ち方など、多面的な人生経験を、若者たちに伝える役割を期待しているためだ。

 初年度は、県の緊急雇用対策の助成金約2500万円を受けてスタート。次年度以降も民間のNPO法人補助制度などを利用して事業を続ける。

 雇用する失業者は過去の就業分野を問わず、5人程度をハローワークを通じて募集。約1カ月の訓練を経て指導役のジョブコーチを任せる。給与は月額20万~25万円程度とする予定。

 コーチを受ける若者は、15歳から35歳ぐらいが対象。リベラ運営の就労支援事業所「しずおか東部若者サポートステーション」(三島市)の利用者や県東部の市町を通じて約30人を募る。

 講座は、現在、同ステーションの就労体験の受け入れ先となっている三島市や近隣市町の製造業、清掃業など5業種の事業所で開講。3カ月を1期として年3回開き、受講者は1期終えるごとにリベラで面接や履歴書記入など就職活動の練習をする。受講料は無料。

 リベラは不登校・就労支援の一環として、4月以降、三島市内に地元物産などの販売店を開いたり、ビルや工場の清掃の請け負いを事業化する計画を進めている。ジョブコーチには若者への指導と並行して、これらの収益事業に携わってもらいたいという。三好理事長は「地域のニーズを掘り起こして事業をつくり、若者たちの就労の場を築きたい」と話している。

 リベラヒューマンサポート 1989年設立。高校中退や不登校の子どもの教育支援の場「リベラスコーレ」と、ひきこもりの青年らを対象にした厚生労働省委託の就労支援事業「しずおか東部若者サポートステーション」を柱に運営。就労体験の場として系列喫茶店「NPOカフェ」や、関連NPO法人による知的障害者らの就労訓練施設「リベラインダストリア」も設けている。

リベラ運営のカフェで清掃体験をする若者たち。より確実な就労支援に向け「ジョブコーチ」制度を取り入れる=三島市で
リベラ運営のカフェで清掃体験をする若者たち。より確実な就労支援に向け「ジョブコーチ」制度を取り入れる=三島市で