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【石川】出身の中国 日本法人内定 就職難関 30/5000 突破

2010/02/21

北陸大の付思佳さん
大学は現地売り込み支援

 不況で留学生の就職活動も厳しさを増す中、北陸大(金沢市)で学ぶ中国出身の付思佳(ふしか)さん(22)が、三菱東京UFJ銀行の中国現地法人から内定を得た。留学生の日本企業への就職は狭き門。同大は留学生の大半を占める中国人学生の就職を後押ししようと、中国の日系企業訪問など支援に乗り出すことを決めた。(奥野斐)

 付さんは二年前、北京語言大(北京市)から北陸大未来創造学部に編入。日本の企業への就職を目標に、TOEICや日本語能力検定試験で高得点を取得し、簿記二級にも合格した。

 一昨年から就職活動を始めたが、金融危機の余波などで企業の留学生枠は縮小。就職説明会で担当者から「留学生の就職は日本人学生以上に厳しい」と言われたこともある。中国の日系企業も視野に入れ活動を続けた。

 昨年十二月、北陸大の金沢泉教授の推薦で三菱東京UFJ銀行現地法人の採用試験を受験。約五千人の応募者から内定者三十人に選ばれた。合格者の大半は、中国の一流大学の学生だ。「大学で学んだ日本語や金融の知識を生かして仕事をしていきたい」と意欲を見せる。

 石川労働局によると、二〇〇九年度に県内の五大学に調査した留学生の内定状況では、就職希望の留学生七十三人のうち、内定者はわずか十六人(一昨年十二月末)。同局担当者は「今年は東京や大阪など大都市圏で開催される説明会に参加するなど、早めに動く留学生が目立つ」と話す。

 それでも、留学生の就職内定率が伸び悩む中で付さんの成功例を生かそうと、北陸大は大学職員らを中国へ派遣することを決めた。今月にも職員と教員の計四人が中国に出向き、約十日間の日程で北京や上海、大連の日系企業の人事担当者などに直接売り込む。

 支援に携わる金沢教授は「組織的に留学生の就職を支援して、日本で学んだ優秀な学生を一人でも多く企業に送り出したい」と話している。

中国の日系企業に就職が内定した付思佳さん=北陸大で
中国の日系企業に就職が内定した付思佳さん=北陸大で