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【アジア・北陸】増える外国人研修生 受け入れ団体 両面支援

2008/09/22

実務…日本語能力向上へ講習
生活…スタッフが相談も対応

 アジアを中心に、途上国から人材を受け入れる研修生制度。不足する労働力を確保できることから企業の受け入れが増えている一方で、賃金の未払いや不正な残業、労災などのトラブル防止も課題となっている。北陸地方の受け入れ団体でも、教育を充実させるなど実務、生活の両面から研修生をフォローする動きが出ている。 (鈴木智重)

 石川、福井の両県で約四百五十人の研修・実習生を受け入れているミリオン協同組合(福井市)は一年前から、安全教育を強化している。これまでにアーク溶接、クレーン、砥石(といし)などの講習会を開いた。

 独自の講習に乗り出したのは「労災防止には教育が不可欠だが、中小企業では対応しきれず、既存の日本人向け講習には言葉の壁があるため」(土肥宣隆理事長)。資格講師や講習設備の確保などで課題はあるものの、今後も各業種の講習を充実させるという。

 日本語能力試験への取り組みを本格化させているのは、石川県異業種交流協同組合(金沢市)。十二月の試験に向けてことしから研修会を開催。受け入れの三分の一に当たる五十人弱が参加している。


 制度上は就業前に一定時間の日本語研修が課せられているものの、会話能力の個人差は大きい。目名保彦副理事は「言葉が通じなければ仕事に支障があるし、トラブルの元にもなる。今後のキャリアアップにつながる点で研修生にとってもプラスになる」と狙いを説明する。

 富山国際経済技術協同組合(富山市)では、研修生らにスタッフの携帯電話を教えいつでも相談に乗っており、病院への付き添いや日常の買い物などにも対応。松本久介専務理事は「相談は100%解決させている。研修生からの信頼を得ることは、問題がある企業の情報の早期収集につながる」と話す。

 富山県商業まちづくり課によると、同県内の研修、実習生は昨年末時点で計四千二百七十六人。石川県でも右肩上がりの傾向が続いている=別表。増加に比例し、全国でさまざまなトラブルが取りざたされるようになった。国際研修協力機構の宝田幸夫富山駐在事務所長は「対応に差がある企業への意識付けを含め、一次受け入れ団体の姿勢がしっかりしていないとうまくいかない」と指摘する。

日本語能力試験に向け熱心に勉強する研修生ら=金沢市内で
日本語能力試験に向け熱心に勉強する研修生ら=金沢市内で