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【社会】夢へ 病気蹴っ飛ばせ

2017/09/19

1型糖尿病 元FC岐阜・杉山さん計画
患者のスペイン選手闘病少年らと応援

 有効な治療法がない1型糖尿病を抱えながら、FC岐阜や大宮アルディージャなどでプレーした元Jリーガー杉山新さん(37)=埼玉県春日部市出身=が、同じ病のサッカー少年らを連れてスペイン渡航を計画している。1型糖尿病の患者だと明らかにしたスペイン代表ナチョ・フェルナンデス選手(27)の試合を観戦するためだ。「大観衆の中で活躍する姿を見て、夢をあきらめないきっかけにしてほしい」と願う。 (井上峻輔)

 ◇ ◇ ◇

 スペイン代表選手が1型糖尿病を公表した-。杉山さんは3月、ネットニュースを見て驚いた。現地の名門チーム「レアル・マドリード」の選手としては知っていたが、「自分と同じ病気だったとは」。

 杉山さんもヴァンフォーレ甲府に所属していた23歳の時に突然、体のだるさを感じ、1型糖尿病と診断された。「若いし、太っているわけでもないのに…」。原因は不明で、医者から治ることはないと言われた。

 戦力外通告を受けたが、サッカー選手でいることを諦めなかった。1日4度のインスリン注射は欠かせなくても、血糖値をコントロールすれば激しい運動もできる。テスト生として今まで通りにプレーできることを証明し、3カ月後に再契約にこぎつけた。その後も病気と付き合いながら大宮、横浜FC、FC岐阜で活躍。2014年シーズンまで16年間の現役生活をまっとうした。

 引退後、埼玉県内で小中学生の指導者として活動する一方、1型糖尿病の患者会との交流で幼い患者らの悩みに気付いた。友達に隠れて注射を打つ子、心配した家族や指導者に運動を禁止される子もいた。

 そんな時に知ったのが、ナチョ選手の持病公表。「ビッグチームでプレーする選手を見れば、子どもたちが自信を持って夢に進めるのでは」と思い立った。患者団体を通じて呼び掛けたスペイン渡航に、小学生から高校生の男の子4人、女の子1人が集まった。「大好きなサッカーをやり続けたい」「ナチョ選手の姿に勇気づけてもらいたい」。寄せられた作文に思いがつづられていた。

 12月の渡航に向け、現在は旅費や滞在費計450万円の寄付をネット上で呼びかけている。杉山さんは「試合を見た子どもたちが『いつかこのピッチに戻ってきたい』なんて言ってくれたらうれしいですね」と話している。

 寄付はクラウドファンディングサイト「Readyfor」で今月30日まで募集する。

◆現役時から積極的に啓発

 杉山さんは、現役最後に在籍したFC岐阜で、ハンディを感じさせない果敢なプレーで知られる一方、当時から糖尿病に関する啓発運動に積極的に取り組んでいた。

 FC岐阜では運動量が求められるサイドバックやサイドハーフとして活躍。トレーニングに先頭になって取り組み、チームメートから愛されていたという。

 広報担当として身近で接していた同職員の林幹広さん(41)は「最後まで諦めずにプレーする強いメンタルを持っていた」と振り返る。

 在籍中には、著書「絶望なんかで夢は死なない」を出版し、子供向けの糖尿病に関する冊子の取材を受けるなどしていた。

 林さんは「病気のことを知ってほしいと常々、言っていた。『自分のようにプロのスポーツ選手として活躍できる』と、伝えようとする姿が印象的だった」とたたえた。

 1型糖尿病 膵臓(すいぞう)のβ細胞が自己免疫などによって壊れ、血糖値を下げるインスリンが体内で分泌されなくなる病気。生活習慣などに起因する2型糖尿病とは区別される。国内の年間発症率は万人当たり1~2人で、小児期に起こることが多いとされるが、はっきりとした原因は分かっていない。完全に治すための効果的な治療法がなく、膵臓移植を受けるか、生涯にわたって毎日注射などでインスリンを補う必要がある。

現役時、最後にFC岐阜でプレーしていた杉山新さん=2014年、岐阜市の長良川競技場で
現役時、最後にFC岐阜でプレーしていた杉山新さん=2014年、岐阜市の長良川競技場で
スペイン代表のナチョ・フェルナンデス選手=ゲッティ・共同
スペイン代表のナチョ・フェルナンデス選手=ゲッティ・共同

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