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【社会】がん闘病 輝きアップ インスタに笑顔の写真

2017/06/29

女性たちの「#loveknow」

 乳がんの闘病生活をブログでつづったフリーアナウンサー小林麻央さんが亡くなり、29日で1週間。東海地方などの女性がん患者らでつくる団体「#loveknow(ハッシュタグラブノウ)」は、闘病の影響が残りながら笑顔やおしゃれを楽しむ自分たちの写真を、インターネットの写真共有アプリ「インスタグラム」に投稿している。本人や他の患者の励みにつなげ、がんに対する社会の障壁を取り除きたいとの思いからだ。(藤原啓嗣)

 団体は、乳がん手術を受けた経験のある名古屋市緑区の阪堂和子さん(41)ら九人がメンバー。インスタ検索などで知り合って昨年六月に結成し、愛知のほか、岐阜県や東京都、大阪府から参加している。交流するうち、治療の副作用による脱毛、治療の不安といった悩みを、職場や家族にすら打ち明けられずに苦しむ患者が多い、と気づいた。

 そうした患者らを勇気づけようと、阪堂さんたちが始めたのが、髪が抜けても笑顔で生きる患者の撮影や写真の公開だった。乳がんを経験したスタイリスト谷山伸子さん(55)=大阪市西区=がメークを、阪堂さんが撮影や編集を担当する。

 ウェブデザイナー芹沢有紀さん(45)=東京都港区=がモデルになったのは昨年六月。入浴中に乳房のしこりが気になり、受診すると、同二月に乳がんと診断された。抗がん剤の影響で髪の毛だけでなく、眉毛も抜けた。買い物に出掛けるだけで息が切れて、むくみや食欲のなさが気になり、「自分はどうなってしまうのだろう」と悩んだ。

 ウイッグ(かつら)が手放せず、インスタグラムでがんに関する情報を集めていて、谷山さんたちと知り合った。少し髪の毛が生え始めていたころ、メークをして写真を撮ることを提案された。

 ほほの赤みを強調した健康的なメークでカメラの前に立つと、周りで見守る人たちが「きれいね」と褒めてくれた。迷いながらウイッグを外すと、自分の殻が破れたように感じた。

 写真の公開後は、患者らから「治療中でもファッションを楽しめるんだ」「元気が出る」との声が寄せられ、自信につながった。

 「おしゃれは女性を明るくする。がん患者のイメージを変えたい」と阪堂さん。谷山さんは「小林麻央さんが乳がんを公表し、社会を変えようとした姿に感動した。職場復帰などで、がん患者にはまだ障壁が多い。私たちも前向きに生きている姿を伝えたい」と話す。インスタは「loveknow2016」で検索。

    ◇


◆治療進んでも就労に壁


 医学の進歩で、がんになっても日常生活を送れるケースは多い。だが、就職や職場復帰などは依然、受け入れ側の認識不足などから壁があるとの指摘がある。

 名古屋市緑区の加藤那津さん(38)は大学の非正規職員だった31歳の時、検診で早期の乳がんが見つかった。手術や放射線治療で病状が落ち着き、正社員の職を求め10社以上に応募。だが、採用はなかったという。病気のことは隠さず話した。「がんだけが原因とは思わないけど、影響があったのかも」

 2年前、若いがん患者らの集いの場「くまの間」を設立。「抗がん剤治療の通院や、体を慣らすための時短勤務の制度がない」「介護や育休は堂々と取れるが、がんでの休職は肩身が狭い」といった声を聞いた。

 加藤さんは、社会や企業の受け入れ態勢は未整備のままと感じる。「障害者雇用のように補助金をもらえる仕組みでもないと、積極的に雇おうとはならないのかもしれない」と話す。

 厚生労働省によると、がんの通院治療をしながら働く人は32万5000人。がん患者の就労支援をする赤羽乳腺クリニック(名古屋市千種区)の赤羽和久院長は「がん=死ではない。臓器や進行度、タイプによって経過は全く違い、ちょっとした配慮で多くの人たちが雇用を継続できる。がんの認識を変える大人のがん教育が必要だ」と指摘する。(小椋由紀子)

インスタグラムに公開された芹沢有紀さんがウイッグを外した写真=#loveknow提供
インスタグラムに公開された芹沢有紀さんがウイッグを外した写真=#loveknow提供

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