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【暮らし】「母親を雇用」広がる動き 医療的ケア必要な子や障害児の施設

2017/06/16

 医療的ケアが必要な子どもや重度の障害児が日中を過ごす施設で、母親を雇用する取り組みが広がってきた。保育園など子どもを長時間預けられる場所は少なく、仕事を辞めて孤独な子育てをしている母親も多い。職場を提供し、精神的、経済的に支える狙いだ。子どものそばで働ける安心感もあり、仕事との両立支援策として期待が高い。

 千葉県松戸市で医療的ケアが必要な子どもを預かる「サボテンKIDS」。運営会社のアースは昨年10月から母親の採用を始めた。パートの看護師、雅代さん(44)=仮名=は難病の長男(5つ)を預け、働いている。

 長男はヌーナン症候群という難病で、1日に何度もたんの吸引が必要だ。出産までは助産師として働いていたが、子どもを預ける先がなく、仕事を断念。家族はいるが、これまでほとんど1人で介護や食事の介助をしてきた。「子どもと家族だけの生活が外の世界に触れられるように変わってうれしい」。施設では自分の子どもの世話はしないが、「何かあってもすぐにのぞけるので安心」と笑顔を見せる。

 愛知県半田市の社会福祉法人「むそう」は、同市の施設内に母親が働けるパン店などを設けているが、5月には、名古屋市名東区にある施設の1階にも同様のチョコレートショップを開設。スタッフの青谷彩さん(35)は「社会に出て人と関わりたいし経済的にも助かる」。別の母親(32)も「仕事は諦めていたが希望が湧いた」と話す。

 医療的ケアが必要な子どもを受け入れる保育園は少なく、こうした子どもを対象にした児童発達支援センターなどで過ごせる時間も限られている。付き添いを求められることもあるため、フルタイムで働くのは難しく、両立支援は著しく遅れている。

 障害児保育園ヘレン荻窪(東京都)の遠藤愛園長は「職場復帰の道が閉ざされたショックは大きい」と支援の必要性を強調する。

 こうした中、札幌市の社会福祉法人「麦の子会」は、15年ほど前から障害児施設などで母親の雇用を積極的に進めてきた。約四百人の職員のうち、障害児の母親はパートも含め百93人。看護師やヘルパーのほか、送迎、喫茶担当など職種は幅広い。預かり時間も夕方まで延ばした。「障害児が生まれたことで離婚する人も多い。仕事もなく、生活に困る母親を助けたい」(古家好恵理事)と取り組む。

 障害がある2人の娘を育てながら喫茶部門で働くシングルマザーの島田希さん(43)は「母親同士悩みを相談しやすい。支えてもらったお返しをしたい」と語る。

 障害児の子育てに詳しい淑徳大の柏女霊峰教授は「重い障害のある子どもの母親は育児に専念すべきだという圧力は強く、母親もそう思い込んできた」と指摘。「障害児を預かる保育園を増やし、施設の預かり時間を長くすることで仕事との両立は可能になる。施設が母親を雇うことも一つの方法」と話した。

 <医療的ケアが必要な子ども> 鼻から管を通したり、胃に穴を開けたりして栄養を流し入れる経管栄養や気管切開に伴うたんの吸引、人工呼吸器の装着などの医療行為を日常的に必要とする子ども。技術の進歩により、危険な状態で生まれて障害が残る子どもが増えたことを背景に増加しているとされる。厚生労働省によると、推計で全国に約1万7000人、10年前の1・8倍となった。

「サボテンKIDS」で遊ぶ雅代さんの長男(左)=千葉県松戸市で
「サボテンKIDS」で遊ぶ雅代さんの長男(左)=千葉県松戸市で

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