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【医療】大同病院のIT活用 診療情報 スマホで確認

2018/05/01

患者や家族 データ推移ひと目

 ITを積極的に活用して業務の効率化を進めている大同病院(名古屋市南区)は、患者がスマートフォンやタブレット端末、パソコンを使って手軽に診療情報が見られるシステムを導入した。患者も正しい診断名や検査データの推移を知ることが、よりよい治療につながるという考えから投資をしたという。(稲田雅文)

 大同病院は2016年12月に「カルテコ」と呼ばれるシステムを導入した。同病院と、併設の診療所「だいどうクリニック」にかかっている患者が利用登録をすれば、無料で使用することができる。

 スマートフォンに専用アプリを導入して設定を終えると、病院を受診した日がアプリ内のカレンダーに表示される。日付を押すと、診断された傷病名や検査結果、診療中に使われた薬、処置・手術、処方された薬が表示される仕組みだ。

 血液検査の数値は、項目別に過去の数値の推移がグラフ表示される。処方された薬は、成分や効能、副作用などの情報と外観の写真が表示される。導入を決めた名誉理事長の吉川公章医師は「血液検査データは、検査時に紙で渡しているものと基本的には同じだが、日常的に携帯している情報機器で数値の推移を確認できることが、病気の正確な理解につながる」と狙いを話す。

 吉川医師が主治医を務める会社経営の60代男性は、過去1~2カ月の血糖値の状態を示すHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の値が、糖尿病予備群の範囲だった。食事の量を抑えたり、運動したりといった生活習慣の改善を指導していたが、仕事柄、取引先との会食が多く、なかなか取り組めていなかった。

 男性がカルテコの利用をスマホで始めたところ、血液検査ごとのHbA1cの変化を気にするようになった。服薬が必要な水準に近づいていることを知り「このままではまずい」と運動を始めると数値は改善。「数字に気を付けているうちに、健康をより考えるようになった」と語った。

 血液検査で前立腺がんなどの可能性を示す腫瘍マーカーの数値なども日ごろから確認していれば、上昇したときに気付きやすい。「針を刺して組織を取る検査に踏み切る場合も、なぜ体に負担がある検査を受けるのか納得ができる」と吉川医師。手術や放射線治療を受けて効果が出れば、数値が下がるのが目の当たりにできて励みにもなる。

 家族が容易に治療の状況を知ることができることも大きい。一般的に医療機関は患者本人以外の問い合わせには一切答えない。患者本人がIDとパスワードを家族に伝えておくと、家族がカルテコを通して日々の診療情報にアクセスすることができ、離れて暮らしていても治療の進行具合や健康状態が把握できる。

 普及はこれからだ。システムを提供するメディカル・データ・ビジョン(東京)によると、全国では同病院のほかに、恵寿総合病院(石川県七尾市)など3病院が導入している。18年度末までに24施設、19年度末までに344施設に導入することを目標にしている。

 大同病院は、玄関から入ってすぐの場所に患者図書室を設置し、患者が病気について自由に学べるようにしている。「医師と患者が病気について共通の認識を持って治療に向き合い、最善の選択をできるようにしたい」(吉川医師)との理念からだ。診療情報への自由なアクセスは、その理念の一助になると考えた。五年前に院内の診療情報などはすべて電子化し、ペーパーレス化していることも後押しした。

 現在の利用者はまだ500人程度だが、今後、コンピューター断層撮影(CT)や超音波検査などの画像を見られるように改良し、2000~3000人に増やしていきたい考えだ。「事前に知識を得て主治医の診察を受ければ、的確な質問ができ、診察時間を有効に生かせる。自分のことをよく知るためにもぜひ活用してもらいたい」と力を込める。

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