2024/04/13
得意生かし現場カイゼン
休暇名称変更し抵抗軽減
1919(大正8)年創業の老舗電気設備メーカー・河村電器産業(愛知県瀬戸市)でこの春、初めて女性の工場長が誕生した。本地第二工場長の加藤妙子さん(43)。工業高校を卒業後、事務職で入社し「人生設計に入ってなかった」という仕事でのキャリアを重ね、後輩のロールモデルになれるようにとの思いを抱く。(岸友里)
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1999年入社。当時の主な仕事は伝票処理や電話番だった。当時、電話口では用件を聞くより先に「男性に代わって」と言われる時代だったと振り返る。「悔しくて用件を聞き出すまでは絶対に電話を代わらないと決意した」と、持ち前の負けず嫌いを発揮した。
転機は入社から半年後。意欲的な姿勢や高校で学んだ製図の知識を買われて設計部署への異動が決まった。事務職から技術職への異例の人事だった。得意なパソコンの能力を生かして生産現場のカイゼンを進め、2016年には本地第一工場製造3課長、生産管理課長に就任した。
納期の遅延をなくすため、工場全体を巻き込んで生産計画を見直した。「自分一人でやるのではなく、人に仕事を任せるという経験が積めた」と振り返る。
経営トップと社員が昼食時に意見を交わすランチミーティングで、女性が働く環境も変化した。搾乳室の設置や、呼称に抵抗感を持つ社員もいた「生理休暇」を「健康休暇」に変えるなどの成果を上げている。
本地第二工場では分電盤などを製造し、細かい部品を扱う作業も多く、従業員177人のうち女性が7割を占める。
加藤さんは「私自身が楽しそうに働く姿を見せて、今の女性の希望につながる軌道を築くのが使命の一つ」と話した。
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◆多様な社員活躍へ制度見直し
トヨタ自動車でも今年1月、国内で初となる女性工場長として、鎌田祐子さんが衣浦工場長(愛知県碧南市)に就いた。
女性の働き方改革を応援する女性活躍推進法が2016年に施行され、女性の登用が製造現場でも加速している。
厚生労働省が23年に公表した将来推計人口(令和5年推計)によると、実現性が高いとされる「中位推計」で、生産年齢(15~64歳)人口は20年の7509万人が70年には4535万人に激減する見通しだ。労働力不足は顕在化しており、女性だけでなく、やる気のある社員が性別や年齢で制限されることなく活躍できるよう、人事制度の見直しを図る企業も増えている。
ノリタケカンパニーリミテド(名古屋市)は4月、基幹職への登用年齢を最短で35歳から30歳に引き下げた。新たな人事制度の狙いに、多様な人材の活躍推進や挑戦を促す組織風土の醸成を掲げる。
中部鋼鈑(名古屋市)も4月、多様な社員の挑戦を支える会社を目指し、19年ぶりに人事制度を改定。職務等級を9から5に減らしたほか評価基準も見直し、経歴にかかわらず能力のある人を登用しやすくした。
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