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【愛知】子連れ出勤 パパママ応援 愛知で広がり 人材確保へ、職場に保育施設

2018/10/02

 愛知県内の企業で、事業所内に保育施設を設ける取り組みが広がっている。育児休業からのスムーズな復帰を促すなど、子育てを理由とした女性らの退職を防ぐほか、新規の人材確保につなげる狙い。企業によっては利便性の拡充にも力を入れている。(長田弘己、杉藤貴浩)

 敷島製パン(名古屋市)は七月、刈谷工場の敷地内に「Pascoかりや保育園」を開いた。製パン業界では初の試み。産休明けの生後二カ月から受け入れ、日曜日や祝日など預け先を見つけることが難しい日も稼働し、子育て社員の働き方に合わせた幅広い対応ができるのが特長だ。

 利用定員は三十人だが、すでに一時保育とあわせて十五人が利用。常時利用する五人の従業員は、いずれも「保育園があるから」と新しく入社してきた。愛知県豊田市から通勤し、娘美伶(みれい)ちゃん(3つ)を預ける柘植祐子さん(32)は「送迎がすごく便利」と笑顔を見せる。

 トヨタ自動車系部品メーカー中央発条(名古屋市)は、十月から愛知県みよし市の工場の隣で社内託児所「ばねっこハウス」の運営を始める。社員の子どもで生後二カ月から就学前までが対象。託児所開設に合わせて、近隣の事務所や工場に在籍する社員でも、託児所に隣接する事務所に出勤し、離れた上司や同僚と連絡を取りながら働くことができる「サテライトオフィス制度」を導入した。九月二十七日の開所式で、高江暁社長は「育児と仕事を両立させたい社員のためにつくった。人手不足の中、女性が活躍できない企業は発展が望めなくなる」と力を込めた。

 トヨタ自動車は、四月に開設した社内託児所「ぶぅぶフォレスト」(同県豊田市)で送迎サービスを始めた。従業員は本社周辺の各職場に子連れで出勤し、そこから子どもを専用バスで託児所に通わせられる。

 アイシン精機(同県刈谷市)は、昨年から社員食堂や購買などで使える福利厚生用のポイントを社内託児所の利用料にも充てられるようにした。担当者は「ポイントを使えば利用料が実質的に割引になる仕組みもある」とアピールする。

 東海地方では七月の有効求人倍率が愛知県で一・九九倍、岐阜県で二・〇七倍と高水準を保ち、自動車関連産業などの製造業を中心に人手不足が続いている。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの新井みち子シニアコンサルタントは「男性比率が高い製造業が集まる東海地方でも、社内託児所のニーズは高まっている。利用促進の動きは今後も続くのではないか」と話している。

 厚生労働省によると、二〇一六年度の事業所内保育施設は前年度比二百五カ所増の四千七百六十六で、増加傾向が続いている。