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【暮らし】<知りたい! マインドフルネス>(上)企業の研修で 

2018/08/09

 「マインドフルネス」という言葉を見聞きしたことはないだろうか。瞑想(めいそう)などを通して「今この瞬間」を意識することで、集中力の向上やストレス軽減といった効果が期待できるという。米グーグルなど世界のトップ企業が社員研修に取り入れたことで注目度が高まり、日本でも広がり始めている。

 目を閉じ、紅茶の香りを鼻から吸い込む若者たち。食品・日用品大手ユニリーバ・ジャパン(東京)の会議室で行われた新入社員研修。五月末、配属先から集まった15人がマインドフルネスを教わった。

 現代社会では、本を読みながらの食事など、食事中に別のことをするのは珍しくない。そんな食事に集中し、今を意識するのが「食事瞑想」。マインドフルネスの方法の一つだ。

 研修で用意されたのが紅茶。五感をフルに働かせて飲む。「湯気はどう動く? のどや胃を通る感覚は。どれだけ多くの人の手を渡り、ここに届いたかにも思いをはせて」。講師役のユニリーバ・ジャパン・ホールディングス人事総務本部長、島田由香さん(45)が語りかける。新入社員の1人は「紅茶をこんなふうに飲んだことはなかった。生活の中でも試してみたい」。

 立った姿勢での瞑想も。呼吸に意識を向けた後、頭から爪先まで体の一つ一つに意識を向けていく。「動いていないのに汗をかいた」「頭と目がスッキリした」との声が上がった。

 米国では、名だたる企業の創業者や病院、スポーツ選手らが瞑想を実践。医療保険大手のエトナでは社員のストレスが減り、医療費も大幅に減少したという。

 精神科医の久賀谷亮さんは、マインドフルネスを「24時間どこでもできる。シンプルで科学的に正しい脳の休息法」と説明する。

 「今は脳が疲れる時代」と久賀谷さん。スマートフォンなどから入る情報量は多く、素早い処理が求められる。「心はさまよい、頭の中はパンパン」。疲れているのは体ではなく脳。注意散漫や無気力、イライラがそのサインで、心の病にもつながる。そんな脳や心を休ませられるのがマインドフルネスだという。

 今を意識することがなぜ休息になるのか。私たちは終わったことを気に病み、これから起きることに不安を感じている。「過去や未来(を考えること)が大半のストレスの原因」と久賀谷さん。今起きていることに意識を向ければ、過去や未来にとらわれずに済む。久賀谷さんは、その基本となる呼吸法=図=を勧めている。

 米国ではマインドフルネスの研究が進み、効果が実証されてきている。久賀谷さんによると、脳が消費するエネルギーのうち七~八割は、ぼんやりとした安静状態に動く「デフォルト・モード・ネットワーク」(DMN)という回路で使われている。マインドフルネスはDMNの過剰な活動を鎮め、疲れづらい脳に変えていく可能性もあるという。

 医療の現場での取り組みを14日に紹介する。

 (小中寿美)

【マインドフルネス】
 「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観(み)ること」(日本マインドフルネス学会)などと定義される。そうした心の状態をつくる過程や生き方を指す場合もある。起源は仏教だが宗教性は排除されている。米マサチューセッツ大で慢性疾患を治療するプログラムが開発されたのを機に注目が集まり、国内でもうつ病などの治療への活用が始まっている。

呼吸や体の部位に意識を向ける瞑想をする新入社員たち=東京都目黒区のユニリーバ・ジャパンで
呼吸や体の部位に意識を向ける瞑想をする新入社員たち=東京都目黒区のユニリーバ・ジャパンで