蒲郡・レンタルドレス会社

　社内競技会で時給が決まる－。インターネットを介してドレスをレンタルするサービス「おしゃれコンシャス」を運営するミスコンシャス（愛知県蒲郡市）が一風変わった取り組みをしている。従業員のやる気を引き出し、人材の定着にもつながっているという。１１日に同社で開かれた競技会をのぞいてみた。（長田弘己）

　「よーい、スタート」。約３千２００着のレンタルドレスが保管される配送センターの一角に、小山絵実社長（３４）の声が響き渡ると、緊張した面持ちの女性従業員が黙々とドレスを畳み始めた。

　女性従業員の後ろにはハンガーに掛かった５人分のドレスや上着。畳んでは袋に詰める。最初に「できました」と声を上げたパートの香ノ木（こうのぎ）美希さん（３９）は「緊張して手が震えた。これで時給が増えれば、仕事を頑張ろうという気になる」と笑顔を見せた。

　競技会の名称は「おしゃこんカップ」。毎年１月と７月に開かれ、ドレス畳み、パソコンの基礎知識など３種目で競い合う。全従業員２０人が参加するが、結果が時給に反映されるのはパート社員の１６人。１位は３０円、２位は２０円、３位は１０円が次の競技会が開かれるまでの半年間、ベースの９３０円の時給にプラスされる。競技会は２０１６年から開いており、時給を連動させる形式は昨年導入した。

　同社の直近の年商は昨年の１・５倍の３億円。レンタルサービスは１３年の開始以来、延べ８万９千人が利用するなど急成長している。それを支えるのが、従業員の多くを占める子育て中の母親。働き手の少ない地方で人材を確保するため母親でも働きやすい職場づくりに取り組んできた。

　残業はゼロ。保育園に子どもが預けられない時は社内にある「キッズルーム」で子どもを遊ばせられる。週２日勤務から段階的に正社員になれる柔軟な制度や、急用でも休めるように全ての業務を２人以上で担当するワークシェアリングを取り入れた。働きやすいとの評判が口コミで広がり、今年６月までの半年間、４人の採用枠に７７人の応募があった。

　小山社長は「（競技会は）人材育成の一環でもあり、ほめられて向上心が高まれば仕事の楽しさにもつながる。（さまざまな取り組みで）働く人に寄り添うことで企業も成長する」と話す。