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【社会】総務省調査 介護離職後の再就職30%

2018/06/22

 仕事を続けたかったのに家族の介護で離職した人のうち、再就職したのは30・2%にとどまることが、総務省の調査で分かった。ようやく仕事が見つかっても正規から非正規に転じるケースが多く、同省は厚生労働省に対し、家族介護者に焦点を当てた就職支援の検討を勧告した。

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 調査は昨年1~2月、各地のケアマネジャーを通じ、家族介護者に調査票を配布して実施。回収できた1938人のうち、477人が介護離職の経験者で、希望に反して離職を余儀なくされたのは321人。このうち調査時点で働いていたのは97人だった。

 97人の雇用形態を見ると、離職時に正規の職員・従業員だったのは約半数の48人。だが再就職後は20人に減り、残る77人は派遣社員やパート・アルバイトなどだった。

 仕事と介護の両立を支える「介護休業」に関し、回答した1764人の9割以上は利用した経験がなかった。

 自由記述で、家族介護者からは「介護は先が見えず、再就職しようにもできない」「介護休業の制度があっても、勤め先が認識していなければ利用できない」との声が上がった。

 家族介護者の雇用について、約百事業所からの聴取では「時間的な制約がない求職者の方が雇用しやすい」などの否定的な意見が聞かれた。「能力があり、有益ならば採用する」とした事業所もあり、総務省は「就職先を新規開拓する余地がある」とみている。

【介護離職】 総務省の調査では、家族の介護や看護を理由に仕事を辞めた人は年間約10万人に上るとみられる。仕事との両立が難しいことが背景。離職すれば経済的に不安定な生活を余儀なくされるが、親の介護が必要な世代は主に中高年で、再就職のハードルは高い。政府は「介護離職ゼロ」を目指しているが、実現にはほど遠く、無理なく働き続けられる環境整備が急務となっている。