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【地域経済】外食 閉店じわり早く 夜間の人手不足 従業員負担軽く

2018/04/16

 慢性的な人手不足を背景に、東海地方を地盤とする外食産業でも夜間の営業時間を短くする事例が相次いでいる。学生アルバイトをはじめ、外食チェーン店を支える人材集めには厳しさが増しており、営業時間を長くして売り上げ増を図るより、働きやすさを充実させる優先度の方が高くなっているようだ。(竹田弘毅)

 ◇ ◇ ◇

 「営業時間変更のお知らせ」。ステーキハウス・ブロンコビリーの徳重店(名古屋市緑区)は、2月からそれまでより30分早い午後11時閉店にしたと、店頭の張り紙で知らせている。

 店の周辺は住宅街が広がる好立地な一方、近くには大学が少ない。男性店長(29)は「深夜帯に働いてくれる学生バイトが集まりにくいため」と営業短縮の理由を話す。

 午前0時の閉店だと、後片付けをしていると午前1時ごろまで作業がかかる場合がある。通常は950円の時給が午後10時以降は25%上がるが、「最近は早帰りを希望する学生が増え、深夜に働きたがらない」という。

 ブロンコビリーは1年半前から、大半の店が午前零時に設定していた閉店時間を、段階的に30分から1時間早めた。「バイトが足りなければ社員の残業で賄う必要がある」と担当者。バイトの確保難と社員の負担減を考慮し、運営する全百23店舗の7割でこれまでに営業短縮をし、残り3割も拡大を検討している。

 しゃぶしゃぶ店などを展開する木曽路(同市)も昨年から営業時間短縮を進める。夜間の来客が見込める都心部を除き、大半の店で、閉店を30分早い午後10時にした。人件費がかさむ割に客数が伸びない夜間営業の収益を改善する狙いもあるが、担当者は「早く帰れて働きやすい店というイメージで人材を集め、長く働いてもらう狙いが大きい」と強調する。

 カレーチェーンの壱番屋(愛知県一宮市)は一部店舗で深夜営業を見直したのに加え、本社で働く社員を含めた働き方の改善に着手している。昨年9月以降、正社員の労働時間を月平均174時間から162時間に引き下げ、みなし残業を廃止した。退勤から翌日の勤務までに10時間以上空けることを義務付ける「勤務間インターバル制」も採用している。浜島俊哉社長は6日の決算会見で「従業員も喜んでいて、成果が出ている」と胸を張った。

店頭に張られた営業時間の短縮のお知らせ=名古屋市緑区のブロンコビリー徳重店で
店頭に張られた営業時間の短縮のお知らせ=名古屋市緑区のブロンコビリー徳重店で