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【愛知】子どもの絵で和み運転 小牧 トラックに転写 「あおり」減る

2018/03/25

 愛知県小牧市入鹿出新田の運送会社「名備運輸」は、自社のトラックの荷室の扉に運転手の子どもたちの絵を転写したシートを貼っている。運転手は「後続車からのあおりが減った」と話し、安全運転や事故防止に効果を生んでいるようだ。(藤原啓嗣)

 名備運輸は4トントラック57台を所有。運転手の子どもの絵の転写は2016年から始め、7台にシートを貼っている。うち3台は運転手の子どもだけでなく、地域の子どもたちの絵を貼っている。

 運転手の1人、貝沼長武(おさむ)さん(47)のトラックには、小学生の長女と次女の絵が貼ってある。家族で笑顔で手を振ってお父さんを見送る絵と、トラックを運転するお父さんの絵。「パパおしごとがんばってね」「お仕事気をつけてね」とのメッセージが添えてある。

 「幹線道路を走っていて、あおられることが減った」と貝沼さん。荷物を届けた先で「小さい子がいるといいですね」と声を掛けられることもある。「自分の子どもの絵を掲げている以上、下手な運転はできなくなった」。自身の安全への意識も高まったという。

 トラックの扉への子どもの絵の転写は14年、大阪府高槻市の宮田運輸が「こどもミュージアムトラック」として始めた。13年に同社のトラック脇をすり抜けようとしたオートバイの男性が転倒し、死亡した事故がきっかけだった。

 亡くなった男性には小さな子どもがいた。同社の宮田博文社長(47)はこの事故後、安全を一層強く考えるようになった。「子どものことが常に頭にあれば、お互いにむちゃな運転は減るのではないか」。運転手はトラックの運転席に家族の写真を飾ることが多い。「それだけ子どもの存在は大きい。外の人たちにも子どもの絵を見てもらい、心に余裕を持ってもらおうと思った」

 宮田運輸は、140台のトラックのうち40台に子どもの絵を転写している。同社によると、絵の転写は名備運輸を含む全国の40社、計約120台に広がっている。

 警察庁のまとめでは、あおり運転など道路交通法違反(車間距離不保持)による16年の摘発は全国で7千625件に上った。その中で、名備運輸の丸川靖彦社長(52)は「子どもの絵を見た人たちから『気持ちが和むね』と言われる」と、安全運転への効果に手応えを感じている。

子どもの絵を飾る名備運輸のトラック=24日、愛知県小牧市で
子どもの絵を飾る名備運輸のトラック=24日、愛知県小牧市で